【結果】土間に関するアンケート(前編)
今回は、「土間」について伺いました。
私たちは、コロナ禍そして、その後に始まる暮らしを想像した時に、「趣味」と「衛生」の観点から、「土間」が暮らしを豊かにするのではないかと考え、「土間のある住宅」の企画を検討しています。
長引くコロナ禍の生活において、家で趣味を楽しむ人や、新しくペットを飼い始めた人が増えています。もし、家の中に、趣味に没頭できるちょっとした土間スペースがあれば、一層充実した時間を過ごせるのではないか。また、衛生観念も変化し、ウイルスを室内に持ち込まない工夫をしている人も増えているので、土間があれば家の前室として外と内の切り替えを、スムーズに行えるのではないかと考え、土間に関するアンケートを実施しました。
実際、土間のある住宅に住んでいる人は少ないので、イメージを膨らませやすいように「土間のある暮らし」(2021年6月4日掲載)の記事も参考にしていただき、想像を働かせて回答いただきました。
土間がある住宅に興味のある人は71.8%(「とても興味がある」、「興味がある」の合計)、魅力を感じる人は75.1%(「とても魅力を感じる」、「魅力を感じる」の合計)で、関心の高さを感じられました。土間の種類では、「趣味のアウトドア用品の収納や飾る土間」は43.0%、「家の中庭としての土間」は 40.3%、「玄関先のちょっとした茶の間としての土間」には、34.2%の人が興味を持っています。
土間があれば始めたい趣味は何かを聞くと、汚れや匂いが気になる「園芸・庭いじり・ガーデニング」 18.8%、「そば打ち・味噌づくり・漬物つくりなど・特別な食材作り」14.8%、外で活動するための道具が必要な「自転車」11.4%、「アウトドア」8.7%、「キャンプ」8.7%、作業スペースや専用の道具が必要で汚れも気になる「DIY」10.1%、「陶芸・工芸」7.4%などの回答がありました。どれも、居室内では行うことが難しい趣味を始めてみたいという結果でした。
玄関の収納については、足りないと感じている人が48.3%(足りない、まったく足りないの合計)でし た。玄関に収納したいができていないものとして「濡れた傘」24.2%、「ゴルフバック」22.1%、「靴」 21.5%、「スーツケース」21.5% などが多かったことから、濡れた状態の傘を乾かせるスペースや、スーツケースなどの大物で底が汚れているものを室内に持ち込みたくないといえます。玄関先に土間があれ ば、このようなものも収納でき、助かると考えられているのではないでしょうか。
また、玄関に欲しい機能としては、「コート掛け」48.3%、「宅配物を置いてもらうスペース」33.6%、「鏡」32.2%となっています。他に、「除菌スプレーを使用するスペース」25.5%、「手洗い場」23.5%と、衛生に関する機能にも関心が高くなっています。
マンションに住んでいても土間のような空間が欲しい人は62.4%(「とても思う」、「思う」の合計) と、半数以上の人が土間のある暮らしを求めていました。一方、居室の面積が減るなら土間はいらないという人は56.4%(「とても思う」、「思う」の合計)ですが、居室の面積が減っても土間が欲しいという人が12.8%いました。面積が減っても欲しいと回答の人は、「アウトドアや趣味の道具の収納」「自転車を置く」「DIYやメンテナンス」「植物を置いたり、こどもを遊ばせたりする場所」「ペットや靴を洗うシンクが欲しい」など、用途が明確でした。
土間を設けるとしたらどのように設置したいかを聞くと、「外部に面して長く広く縁側のように設ける」が41.6%という結果でした。縁側という言葉から、居住面積を減らさずに土間が欲しいと考えているともいえるのではないかと思いました。
今回のアンケートから、現代の暮らしにおいても、土間は「収納」「作業」「飾る」「もてなし」「衛 生」の観点からニーズがあると感じました。そして、どのような目的で土間を使うのかによって、必要なスペースや設備も変わってきます。
戸建住宅では、おしゃれで機能的な使い方をしている土間の写真が、ネット上に多く見受けられます。一方、新築マンションに土間を取り入れるには、面積や設備配管との兼ね合いなどの課題があります。また土間があれば何でもできるということでもありません。防水や排水が施されていなければ水を流すことはできませんし、騒音や振動など周囲への配慮も考えて、マンションならではの新たなルールを策定する必要もあるかもしれません。
それらをクリアして、マンションにおいても「家の中の外のような空間」「汚れを気にしなくてもいい空間」「非日常を感じるワクワクする空間」「人をもてなす空間」など、住まう人の暮らしを彩る「土間のある住宅」を作りたいと考えています。