【結果】日常の変化について (後編)

実施日: 2020年9月25日(金)〜10月4日(日)
母数: n=224(うち仕事をしている人 n=199)

今回のアンケートでは、新型コロナウイルス発生前と現在の日常を比べた時に、みなさまの暮らしに起こった行動の変化をうかがいました。

以前、「日常を見直してみる」(2020年9月11日配信)のコラムでも書きましたが、新型コロナウイルスの影響で、人々は今までの「そういうものだから」という観念に対して、純粋な疑問を抱くようになりました。こういった意識の変化は、日常生活の見直しにつながり、より暮らしを充実させようとする動きにもつながっていることが、今回のアンケート結果からもわかりました。

結果は、全2回に分けて報告し、今回は、仕事をしている人にうかがった「仕事に関するライフスタイルの変化」をお伝えします。

現在の勤務状況については、「完全在宅で仕事をしている」4.5%、「月のうち何日かは出勤している」41.7%で、合わせると在宅勤務をしている人が46.2%でした。また、「変わらず毎日出勤している人」は50.8%で、毎日出勤している人の方が若干4.6ポイント多い結果となりました。

在宅で仕事をしている人の主な仕事場所は、「自宅」が74.7%。自宅の中でも、「リビングのテーブル」39.3%、「ダイニングテーブル」30.4%、「リビングやダイニングに新たに設けた仕事スペース」8.9%で、個室(「自分の部屋」19.6%、「普段使っていない部屋」10.7%)よりリビングダイニングで仕事をしている人が多くいました。

自宅で仕事をする上で、室内での工夫としては、「不用品の片付け」や「机・椅子の購入」の他、「仕切りなどで区切って仕事スペースを作った」、「オンラインでの打合せの背景に障子を配置した」と、仕事に生活感を出さない工夫がされていました。中には転居した人もいました。家族間での工夫では、「干渉しない」や「別の場所に移動する」という意見の他に、妻の回答と思われるもので、「仕事中はできるだけ静かにしている」、「食事の時以外は、声を掛けないようにしている」や「リビングで仕事をしているので、子どもたちが部屋から出てこられない」など、仕事をしている本人以外も気を使っている様子がうかがえました。

会社に出勤した日の帰宅時間については、「早くなった」22.9%、「遅くなった」13.3%で、変化のあった人が36.2%でした。早くなった理由として、「趣味など自分の時間を持ちたいから」26.3%、「感染防止のため外に出たくない為」23.7%と、進んで早く帰る人が71.1%でした。仕方なく早く帰る人の割合を26.3ポイント上回っていました。進んで早く帰宅する人が増えていることから、改めて家で過ごす時間、家族と過ごす時間、自分の時間の重要性を再認識したのではないかと思われます。

また、在宅で困っていることは、「仕事とプライベートのメリハリが付けにくい」45.9%が最も多く、他に「家族がいるので集中しにくい」23.3%、「家の中で仕事をする場所がない」20.5%、「家でいるので家事や育児との両立が難しい」6.8%、となっていました。自宅で仕事をするには、ある程度集中でき、仕事がはかどる環境が必要だという結果だといえます。

今回のアンケートから、睡眠、食事、仕事どの生活習慣においても、変化したと回答している人が約3割いました。これは、これまでの通勤・通学といった日常のルーチンがなくなり、自分の生活の時間を自分でコントロールできるようになった人、意識的に生活を変化させようとしている人が現れてきているということだと思います。

特に在宅での仕事中の休憩時間は、「外に出る」以外ではネット動画やテレビなどのコンテンツを消費している人と、家事をしている人に分かれます。仕事の合間に家事を行っている人は、在宅ならではのOnOffの切替や時間の使い方の工夫から、生活リズムを改善し、自分の生活を自分でコントロールすることに、つなげていると思われます。また、「自宅で仕事をすることが増えたが、仕事場所がなくて、家族が気を使っている状態が続いている」、「リビングでは、仕事もしているが、家族がリビングで過ごす時間も増えている」、「在宅になり通勤に充てていた時間は、自分の為に使いたい」そんな状況から、仕事の為だけではなく、自分の居場所を求めている人も増えているのではないかと推察します。今までは、家庭で過ごす時間は帰宅後の時間であったが、そもそも在宅で家にいる時間が増えると、個人のスペース・時間が制限されてきます。初めのうちは楽しめたのかもしれませんが、長期化すると少し窮屈になってくるのでしょう。家族であっても、パーソナルスペースは重要です。例えば、戸建の上下階で夫婦それぞれが趣味などの充実した時間を過ごせるとか、シェアハウスに住んでいた友人が、結婚しても家賃を払い続けて、時々息抜きをしに子どもを連れてやってくるとか、マンションでの子ども部屋はセミオープンな環境なので、トイレにこもって漫画を読んでいるとか、どの声からも、居場所を求めているのだとわかります。

居場所として、自宅内に、個室を設けるのは難しくても、パーテーションで区切ったスペースを作ったり、または自宅外のサードスペース(もう一つの居場所)を利用したりすることは、新しい生活習慣の中に新たな居場所を持つことになり、より一層家族間のきずなを深めることにもつながるのではと思います。自分らしくいるために、自分の心地よい居場所を考えてみてはいかがでしょうか。

 

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