収納に関する座談会を終えて

収納に関しては、モノの片付け場所を決められなかったり、収納スペースを有効に使いこなせていなかったりと、様々な悩みがあると思います。日常生活におけるご家庭での収納について、皆さまのご意見をお伺いするために、1月に「収納に関するアンケート」を実施しました。結果と考察は2回に分けて、この「欲しかった暮らしラボ」で報告しました。
【結果】収納に関するアンケート(前編)」(2022年2月25日掲載)
【結果】収納に関するアンケート(後編)」(2022年3月4日掲載)

今回実施したアンケート結果から、作り付けの収納では足りず、収納家具などで工夫をしているが、心地よく暮らすために整理整頓をしたいと考えていることがわかりました。また、大型のウォークインクロゼット(以下、BigWIC)があれば、居室が広く使えると感じていただいていますが、それでも各居室には作り付けの収納が欲しいと感じられています。
さらに詳しくBigWICについて、ご意見をお伺いするために、3月4日から計6回にわたって「収納に関する座談会」を開催しました。今回はその内容を紹介します。

座談会の目的
どのような機能を持った収納があれば、誰でも片付け上手になれるのか。収納の基本は定位置・定量といいます。決まった場所に、決まった分だけ収納することを可視化したBigWICを考えるにあたり、ご意見を頂き、実現に繋げたい。

実施日
2022年3月4日(金)、9日(水)、12日(土)、16日(水)、19日(土)のみ2回実施 の計6回。各グループ1時間半程度。

参加者
20代~60代の男女、計15名の方にお話を伺いました。

座談会の内容
座談会の中から、下記の3点について参加者の声をご紹介します。
1.収納について思うこと
2.各部屋の収納の必要性について
3.布団の収納について

 

1. 収納について思うことを教えてください。

Aさん
3人家族(子ども:小学1年生の息子)
整理整頓は苦手です。子どものおもちゃが増えていて、急に遊びたいおもちゃがあると言われて探すことがある。最近は、宅配の段ボールで戦車を作っているので、一部屋が段ボールの山になってしまい、物置状態です。子どもの興味が失せた頃に捨てていますが、今は全てを受け入れている状態です。

Bさん
3人家族(子ども:小学1年生)
子どもの小学校の作品や来客用の布団の収納に困っています。他にキャンプグッズなど実家に置いていますが、手元に置けると便利です。
整理整頓は得意です。しまう手間を省きたいので、洗濯機のそばに下着を置くなど、使うもの同士の場所は近づけて置くようにしています。定期的にモノを見直し、増えないように心がけていますが、それでもモノは増え、一時的にあふれるので、仮の置きの場所が必要になります。

Cさん
3人家族(子ども:7歳の息子)
収納は後回しにしがちなうえ、あまりモノを捨てられないので、収納の仕方に悩んでいます。特に雛人形が大きくて場所を取っています。

Dさん
3人家族(子ども:8歳の娘)
収納は得意ではないが、散らかっているのが嫌です。片付け方を決めているから、得意なように思っていますが、片付けも好きではないです。共稼ぎなので、放置しておくと、テーブルなどがにぎやかになるから、育児もある奥さんに代わって、私が頑張って片付けをしています。

Eさん
4人家族(子ども:6歳の娘、3歳の息子)
マンションの収納の使い勝手が悪いです。奥行きがありすぎて、どのように使えばいいか、わからなくて。今は、スーツケースとキャンプ道具の収納が、とても場所を取っています。

Fさん
4人家族(子ども:6歳と2歳)
4LDKですが、一部屋が物置部屋になっている状態です。収納が多い間取りは気に入っているのですが、子どもの服が毎シーズン増え、予想外にモノが増えている状況です。収納があるのに、そのスペースにモノをちゃんと収納出来ず困っています。

Gさん
4人家族(子ども:6歳と1歳の娘)
収納の事を考えたり、モノを入れ替えたりするのは好きですが、つい後回しにしがちな家事です。理想の収納があるのですが、思い通りにはなっていません。
ホテルやカフェに行くと気分が良くなるように、自宅でも目に付くモノが少ないと気分が良くなるので、兎に角モノを少なくするようにしています。モノが少なすぎて、不便な時もあります。子どもが5歳差なので、今後も使うようなものは残していますが、自分のものなどはリサイクルショップに持って行きます。基本モノを手放すことに抵抗はありません。

Hさん
4人家族(子ども:大学1年生と中学1年生の息子)
収納は得意というより好きです。作業効率を考えて、動線や取り出しやすい所にモノを置いています。そのためハサミがいくつも家に有ったりします。使い勝手を良くすると、物が増えてしましますね。
仙台に住んでいるので、夏冬のタイヤをそれぞれ2台分持っています。それを、レンタル倉庫に入れています。お金は掛かりますが、家の収納は他のモノの収納に使いたいので。

Iさん
5人家族(子ども:小学5年生の息子、小学2年生の娘、3歳の娘)
3LDKのマンションに住んでいて、子どもが3人いるので、ひとり一部屋にはなりません。
収納が得意な人は、「モノの住所を決めるといい」と言いますが、その住所の決め方がわからないです。決めたらその場所に収納すればいいのですが、決めるまでの過程に困っています。

Jさん
5人家族(子ども:小学1年生と年少と0歳の息子)
ミニマリストではないですが、モノが少ないのです。自分で引っ越しができるぐらいのモノしかないです。
整理整頓のコツは、モノを増やさない、床にモノを置かない、S字フックで吊り下げる。床に置いても箱に入れて立に積む。そしてルンバが掃除しやすいようにする。また、冬服も2シーズン着たらメルカリに出すようにしています。

Kさん
夫婦2人(子ども:なし)
今は夫婦2人なので、収納も沢山あるので大丈夫ですが、今後家族が増えたときに、収納が足りるのか?と思うことがあります。洋服も多くて収納に困ることがあります。

Lさん
夫婦2人(子ども:独立している娘)
整理整頓は苦手です。洋服が増えて、収納ケースに収まらず、季節の入れ替えも大変。いつか着るかもと取っておくものがあり、捨てられないので、一年中服が溢れている状態です。
それに加えて、娘が置いて行ったものが多いのと、遊びに来た時用に置いてある布団も場所を取っています。

Mさん
夫婦2人(子ども:独立した娘)
今の住宅を選ぶときに、収納が充実したマンションを選んだので収納には困ってないです。掃除用品はベランダに設置した物置に収納し、部屋に持ち込まないようにしています。また、定期的に整理整頓して、1年に1度はいらないものは捨てるようにしています。

Nさん
母と2人暮らし
収納は、生活スタイルが変わる時に大きく変化するように思います。
引越しをする前の家は収納が少なかったので、収納の工夫が身に付きました。例えばデッドスペースをなくすようにしたいので、突っ張り棒や棚を利用して、小物がピッタリしまえるシンデレラフィットの収納を心がけています。

Oさん
1人暮らし
賃貸なので収納があまりないです。洋服は、出来れば掛けて収納したいですが、掛けるとスペースをとるので、シワになることを我慢して小さくたたんで収納しています。収納は得意で好きなほうですが、その前に、必要最低限のモノしか買わないようにしています。モノを捨てられないタイプなので、買う時に本当に必要かどうか考えてから買うようにしています。

 

2. 各部屋の収納の必要性について教えてください。

BigWICを設置することで、各居室の収納の必要かどうかを伺いました。
アンケートでは、8割以上の方が、BigWICがあっても各居室に作り付けの収納が必要と回答しています。
座談会でも、BigWICがあっても各居室の収納は大きい方がいいという方と、今のシーズン常に使うものだけが入ればいいので、各居室の収納は最小限でいいという方がいました。

■各居室の収納は大きく、もしくは通常サイズの方がいいという意見
・自分の部屋には、衣替えをしなくてもいい、1年分に衣類を収納出来るような大きい収納が欲しいです。BigWICのハンガーパイプには服を掛けないで、他のものを収納したい。
・子どもが小学生になったことで、今までのスペースに衣類が収まらなくなってきました。これからまだまだ大きくなるので、やはり部屋の収納はある程度の大きさは必要です。BigWICには、喪服や礼服とか、スキーウェア、帽子など日常で使わないモノを掛けておきます。
・子どもが大きくなると、制服や部活ユニフォームなど私服以外のモノが増えてきます。リビングが大きくならなくても、収納があったほうがいいです。BigWICはパントリーとして使いたいです。
・各部屋の収納が小さいと、すぐにいっぱいになり、部屋に別の収納を置くことになりかねない。理想は各部屋のクロゼット内で、部屋の利用者の全ての洋服が収納でき、クロゼット内に春夏モノと秋冬モノの収納ゾーンがわかれていて、衣替えをしなくて済むのが理想です。
・子どもは、自分の部屋で収納が完結できるようにしたいので、各部屋に通常サイズの収納は必要です。
・今の家を買う時は、子どもがいなかったので収納は十分でしたが、子どもが生まれるとモノも増えています。将来子ども部屋を与えたときに、収納が足りるか心配なので、各部屋には通常の収納があると良いです。
・収納は多い方がいいので、BigWICがあっても、寝室には通常サイズの収納が欲しいです。

■各居室の収納は小さくていいという意見
・昔の家屋には、長押※にハンガーを掛けることができたが、今のマンションにはそういうものがない、壁に一時的にちょい掛けができる工夫があったら便利。
※長押(なげし):和室の壁面をぐるりと囲む化粧板。上部の出っ張った部分にハンガーやフックを使ってモノをかけたり、飾ったり、壁面を有効に活用することができる。
・衣替えをすることが前提で、各居室には、常に使うものだけを置きたいので、小さくても大丈夫。
・その時期使うものだけが入ればいいので、小さくて大丈夫です。
・小さくて大丈夫です。その時着るものだけ入れば良くて、大きいと洋服もどんどん増えてしまいます。居室に入らないものはBigWICに入れて、季節ごとに入れ替えればいいです。
・クリーニングの預かりサービスを利用していた時期があり、その時はクロゼット内がスカスカになり、洋服が掛けやすかったです。スカスカの時に気が緩んで服を買ってしまい、冬物が戻って来たら、パンパンになってしまうので、自制を聞かせるためにも預かりサービスの利用を辞めました。居室の収納も小さくていいです。

 

3. 布団の収納について教えてください。

来客用や季節の布団でも、圧縮をせずに収納したいという意見が多く、また収納する布団を持っていない人は、布団の収納スペースの使い勝手が悪いというご意見がありました。

・圧縮をしていた時期もありますが、布団を出す頻度が増えると、圧縮するのが大変。年に一度ぐらいしか使わないなら、圧縮してもいいが、時々出すならそのまま収納できるのがいい。
・圧縮するのは手間がかかるので、圧縮しないで収納している。
・羽毛布団はかさばります。布団袋に入れてもかさばるので、布団がしまえる奥行きのあるスペースにそのまま収納するのが一番いいです。
・家族人数分の布団が収納できないので、日頃は部屋に重ねて置いています。
・ベッドを使用しているので家族の布団を収納することはありませんが、来客用の布団が2組あります。最近は薄くても機能性のいいものがあるので、あまり収納に困っていません。
・一人暮らしですが、来客用の布団が一組あり、今は箪笥の上に置いています。高さがあるので、取り出す際に不便を感じています。ベッドの下には、こたつ布団などを収納しています。
・ベッドを利用しているが、使わない寝具は箱に入れて棚の上部に収納しています。お布団クロゼットがあるが、衣装ケースを置いているので、布団はしまっていません。布団をしまわない人には、奥行きが深すぎて使いにくいです。
・お布団クロゼットを使いこなせていないです。布団を置くために奥行きがありますが、布団を置いていないので奥の方が使いにくいです。布団を置かない時にどう使ったらいいか、提案貰いたいです。

 

座談会を終えて

今回の座談会では、収納で困っている事、理想の収納スタイル、収納テクニックなども伺うことができました。
BigWICがあれば、どのように使うか、またどのようなメリットを感じられるかを伺ったところ、「収納は、初めから棚などでモノの置き場所が定位置化している方がいい」「多少余白があって手持ちの家具などを置けるスペースがある方がいい」「収納内部は自分で好きにアレンジできる方がいい」と、意見は分かれました。

また、どの部屋に接続していると使いやすいかは、ご家庭それぞれの収納の悩み事や家族構成によって変わることがわかりました。BigWICがどこに接続しているかで、収納したいものが違い、主寝室に接続していれば、洋服や寝具。廊下やリビングに接続していれば、掃除用具や日用品のストック、季節家電、子どものおもちゃなど、洋服以外が主になります。その他、普段着ない喪服やスキーウェアなどや、外出時に来ていた上着などをクロゼットにしまわず、BigWICに少し掛けしておきたいという声もありました。

BigWICは、誰でも片付け上手になれるよう「整理整頓」、「集約」、「日常使い」、「ストック」の4つの機能を持たせて、どこに何を収納すべきか(定位置)、どれぐらいのモノをストックできるのか(定量)を可視化し、限られたスペースを有効に使える工夫をします。そのうえで、すっきり見せるためには、詰め込みすぎず余白を20%残すことが重要になります。
そして、各居室の収納は、BigWICと併用することで、詰め込みすぎず必要なものが可視化できる広さを確保することも大切です。
今回の座談会で頂いた意見を取り入れた「誰でも片付け上手になれるBigWIC」がある間取りを研究していきと考えています。

 

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