土間に関する座談会を終えて

左上から蕎麦喰亭 / PIXTA(ピクスタ)、じろきち / PIXTA(ピクスタ)、Bilbo / PIXTA(ピクスタ)、2K / PIXTA(ピクスタ)

私たちは、コロナ禍そして、その後に始まる暮らしを想像した時に、「趣味」と「衛生」の観点から、「土間」が暮らしを豊かにするのではないかと考え、6月に土間に関するコラムの掲載やアンケートを行い、アンケートの結果は7月に「欲しかった暮らしラボ」で報告しました。

土間のある暮らし」(6月4日掲載)
【結果】土間に関するアンケート(前編)」(7月23日掲載)
【結果】土間に関するアンケート(後編)」(7月23日掲載)

今回実施したアンケート結果から、土間には、「収納」「作業・趣味」「装飾」「来客」「衛生」の5つの機能が求められている。そして、土間の役割は「外と中を緩やかにつなぐ多目的なスペース」であることを再確認しました。アンケートのフリーコメントに書かれていた具体的な土間の利用イメージも参考にして、間取りプランを考えました。そして、それらのプランを元に、お客様の求めていることを検証するために、7月29日から計4回にわたって「土間に関する座談会」を開催しました。今回はその内容を紹介します。

座談会の目的
マンションにおいても「家の中の外のような空間」「汚れを気にしなくてもいい空間」「遊び心をくすぐるワクワクする空間」「来客時の対応をする空間」など、日常の暮らしを彩る「土間のある住宅」を作りたい。
私たちが考えたプランにご意見をいただ、マンションに適した土間の可能性を探る。

実施日
2021年7月29日(木)8月5日(土)2回、8月7日(土)の計4回。各グループ1時間半程度。

参加者
30代~70代の女性5名、男性4名の計9名の方にお話をうかがいました。

座談会の内容
座談会の中から、下記の2点について参加者の声をご紹介します。
1. 土間のイメージについて
2. 土間のあるプランに対してのご意見

1. 土間のイメージを教えてください

Aさん
30代、女性、3人家族、(こども:小学1年生の息子 )
趣味はハーバリュームやドライフラワーの作成。薬品を扱うため、子どもに触られたくないので、土間で趣味を楽しめたらうれしい。観葉植物や自転車も置けるので、土間は雨の日でも安心というイメージがある。

Bさん
40代、女性、2人家族(こども:なし)
土間は、寒いイメージがある。土間で何かをするというより、キャンプ用具、マウンテンバイクなど、趣味の道具を置きたい。

Cさん
70代、男性、5人家族(子ども:3人とも独立)
年を取ると階段が辛くなると思い、マンションへの住み替えを検討している。今は家に庭があり、家庭菜園やゴルフの練習をしているが、マンションならバルコニーの広いところがいいと考えていたところ、今回土間のアンケートに回答して、土間にも興味を持った。

Dさん
60代、男性、2人家族(子ども:なし)
マンションに住んでいると居住部分はできるだけ広く使いたいので、玄関がもう少し広くて大きな収納があると助かる。玄関に土間があると、来客時にリビングに通さなくても対応ができる点が魅力と感じている。

Eさん
50代、女性、2人家族(子ども:なし)
バルコニーで家庭菜園や植物を育てているが、虫が付いて困る。バルコニー側に土間があって、リビングから花を眺められるといい。サンルームのような家の中で植物が育つ土間が欲しい。

Fさん
40代、女性、4人家族(子ども:小学4年生と小学2年生の娘2人)
外で使うものを、室内に持ち込まず収納できる玄関収納、もしくはそれに近い土間があると便利。

Gさん
60代、男性、3人家族(子ども:社会人男性)
マンションに住んでいるが、車や自転車が好きでガレージハウスに憧れている。本格的なガレージハウスでは、予算や自分のやりたいことに合わないので、どうすれば趣味を活かした生活ができるか検討中。マンションの土間には興味がある。

Hさん
60代、男性、5人家族(子ども:娘が3人、2人は既に独立)
定年退職して、今後の暮らしを模索中。自宅マンションに土間を設けることは想像もできないが、土間のあるマンションは面白く大変興味がある。

Iさん
40代、女性、2人家族(母と同居)
土間は地方の戸建てのイメージで憧れがあるが、集合住宅での土間は難しいのではと思っている。犬と猫を飼っているので、マンションに土間という選択肢があると嬉しいなと思っている。

2. 土間のあるプランについて感じたことを教えてください

土間のあるプランに対して、次のようなご意見が出ました。

・本来外に置くべき自転車なども、室内で管理できるので、セキュリティ面でとても安心。
・土間があると、来客時に部屋に通すのとは違い気軽に対応できそう。趣味のものを飾った土間なら、その趣味も見て欲しくなる。
・小学校の家庭訪問では、先生は部屋に上がらず玄関先で立ち話をすることになっている。土間があると、座っていただけるのでちょうどいい。
・子どもの友達が遊びに来た時は、部屋には上がって欲しくない時もある。土間があると、気軽に遊べるので、親子ともうれしいかも。
・カフェテーブルなどを置いたら、お茶を飲んだり、朝食を食べたりしようという気持ちになりそう。
・ミニシンクがあると、室内に入る前に手を洗えて衛生的だし、汚れものを室内に持ち込まず洗えるので、とてもよい。
・土間が共用廊下に面していて自然光が入りにくくても、おしゃれな照明で演出したり、窓や格子のデザインを工夫したりすることも楽しめそう。

など、土間空間は好評でした。
しかし、土間のサイズと居室やリビングの広さとの関係においては、具体的な使い方をイメージすると賛否の声がありました。また、土間の床仕上げや外に面していることから、寒くないのかというご意見もありました。

座談会を終えて

マンションに土間を設けることに関しては、「マンションの土間は想像できなかったが、面白いと思った。夢が膨らむので、早く実際のマンションを見てみたい」とうれしいご意見を頂きました。また、「土間をサンルームのように日の当たるバルコニー側に欲しい」や、降雪のある地域の方の「天候に左右されない土間があれば、バルコニーは狭くてもいい」というお声から、お住まいの地域によってイメージされている土間が違うことがわかりました。土間は必ずしも玄関と一体でなくてもいいということにも、気づかされました。
家族構成や利用目的によっては、土間を設けることで居室の面積が狭くなることに抵抗があるという声もあり、居室の広さと土間の広さの関係には、慎重に検討を進める必要がありそうです。
また、土間を設けるなら思い切って専有面積を100㎡ぐらいにした方が、素敵なプランができるのではないかというご意見もあり、高額な住戸にも土間は受け入れられると感じました。

古くからある土間の機能は、「収納」「作業・趣味」「装飾」「来客」「衛生」は、現代においても受け入れられることがわかりました。「来客」に関しては、古くからの土間を利用していた頃と比べると来客自体が減っているものの、多くの方に共感いただきました。
この他に、「寒さ」「明るさ」「風通し」「靴をどこで脱ぐか」という設計のヒントになるキーワードも新たに出てきました。

座談会で女性のお話を聞いていると、収納、子どもや家族のこと、ご自身の趣味のこと、来客のことが話題に出てきます。男性は、家族の邪魔をしない自分のスペースという話が出てきた点が、非常に興味深かったです。土間の使い方は、誰の目線かによって大きく変わりますが、その分多くの可能性があると感じました。

また、皆さんが土間のお話をされている時、とても嬉しそうでワクワクした暮らしを想像しながら話されているのだということが、その笑顔からも伝わってきました。「早く土間付きのマンションつくって」「求めていた暮らしができそうです」などと励みになるお言葉もいただき、土間という+αのゆとりの空間は、心のゆとりにもつながることが、よくわかりました。今回、座談会でご意見いただいた内容を参考に、より使いやすい土間のあるマンションを検討していきます。みなさんの要望や気づきのご意見も、是非お寄せください。

ミニアンケート

マンションの土間に興味がありますか。

お答えいただくとこれまでの結果が表示されます。

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