ひとり暮らしのライフスタイルに関する座談会を終えて
単身女性向けの分譲コンパクトマンションのブランド「デュオヴェール」は、できるだけ価格を抑えた1LDKを実現するために、専有面積を小さくしていますが、狭さを感じさせない空間と機能を備えています。
デュオヴェールを供給するなかで抱いたのは「わたしたちの思い込みによるモノづくりになっていないか」、「暮らす人にきちんと目を向けられているか」という疑問でした。
そこで、「リアルでニッチなこだわり」に目を向け、最大公約数的ではないモノづくりをしようと、ひとり女性のこだわりカードを開発しました。詳しくは、「ひとり女性のこだわり」(2021年5月21日掲載)の記事で紹介しています。
当時こだわりカードを使って2021年に実施した座談会では、皆さんのさまざまな暮らしのこだわりや悩みが出てきました。それらの会話を参考に、ひとり暮らし女性のニッチなこだわりを間取りに落とし込んだプランを3つ考えました。
「帰宅時の清潔とリラックスに目を向けて、忙しい平日の中の癒しの時間を増やす間取り(土間クロゼットのある部屋:)」
「いつでもすっきりしたくつろげるリビングを保てるように、効率的な大容量収納のある間取り(バックヤードのある部屋)」
「頑張らないことを肯定する、幸せな二度寝や昼寝をするための間取り(自然光の入る明るく暖かい寝室)」
プランは、「ひとり女性の“気持ち”から考えた、コンパクトマンション向けプラン」(2024年4月19日掲載)で詳しく紹介しています。
これらのプランをよりブラッシュアップするために、ひとり暮らしのライフスタイルをさらに詳しく聞くアンケートを実施しました。アンケートの結果は、欲しかった暮らしラボにて「【結果】ひとり暮らしのライフスタイルに関するアンケート」 で報告しています。(2024年3月1日掲載)
アンケートでは、ひとり暮らしの女性の暮らしのこだわりやルーティーンが見えてきました。これらの結果を踏まえて3月5日から計2回にわたって行った「ひとり暮らしのライフスタイルに関する座談会」の内容を紹介します。
座談会の目的
過去に行った座談会で出た意見を参考に、ひとり暮らしの女性のニッチなこだわりを落とし込んだ3つのプランを考えた。プランをブラッシュアップするため、ひとり暮らし女性のリアルな生活の様子を伺い、より暮らしの解像度をあげたい。
実施日
2024年3月5日(火)、3月16日(火)
参加者
30代~50代の女性、計5名の方にお話を伺いました。
結果の要約
土間クロゼットのある部屋:クロゼットでおかえりプラン
アンケート結果と同様に、自宅に帰ってからルームウェアに着替えている方がほとんどでした。外で着られなくなった服をルームウェアにしたり、安いもので揃えたりする一方、来客時や気分を上げるためにオシャレなルームウェアも持っているという意見も聞かれました。
コロナ禍を機に帰宅後すぐにシャワーを浴びないと落ち着かなくなったという方や、この時期は花粉症に悩まれている方もいて、外着を室内に持ち込まなくて済むプランは好評でした。
バックヤードのある部屋
洗濯物は室内か乾燥機で乾かしている方が多くいました。部屋干しの場所について、エアコンの風が当たる場所に干すなど工夫はされているものの、今の場所がベストだという方は少なく、皆さん試行錯誤して干している状況が伺えました。洗濯機からすぐ干せる場所に干したいという意見が多く聞かれています。
洗濯物をリビングから見えないバックヤードに部屋干しすると、湿気が気になると思われる方が多かったため、洗濯物を干すスペースとパントリー要素のある収納スペースを分けて設けた改善案を見ていただくと、高評価でした。
自然光の入る明るく暖かい寝室:二度寝の幸せプラン
1LDKの部屋のキッチン、ダイニング、リビング、寝室をどこで区切ると良いか伺うと、食事に関するスペースは他と分けたいという意見が多かったものの、仕切ることで圧迫感が出ることを懸念する声も聞かれました。空間を分けたい理由として、匂いが気になる以外では、来客時を挙げる方が多く、プライベート空間を可動式の扉で仕切りたいと望まれる意見も出ています。
ソファに対する考え方は、あまり重要視されない方もいれば、最も重要と考えている方、見た目を重視して選んでいる方もいて、アンケートと同様に人それぞれでした。
座談会を終えて
今回の座談会で頂いたご意見の中にも、今後に活かせる内容が多くありました。
帰宅後の外着は、部屋の中にすぐ入れないことや、外着と部屋着の収納場所を分けることにメリットを感じていただけたこと。クロゼットを2つに仕切るなど、玄関近くと室内で、着るものの収納をどう分けていくか今後検討したいと思います。
また、洗濯物を室内干しする場所も引き続き検討したいと思います。リビングから見えないように設けたバックヤードでも、食品などの保存スペースと洗濯物を干すスペースは分けたいという意見が多かったので、バックヤードのスペースの分け方や、何を優先するのか整理していく必要がありそうです。
リビング空間にベッドがあるのが良いという方もおり、メリットを感じていただけている部分もありました。寝る場所と食事に関する場所は分けたいという需要はありながらも、コンパクトな空間を仕切ることに抵抗がある方もいるので、この辺りも優先順位を考えながら検討していきたいです。
これらのプランは、こだわりカードを使って得られたひとり暮らし女性の気持ちから発想を得るという、通常のプラン設計とは異なるプロセスで出来上がったものです。今回の座談会を通して、どんな点に気をつけてプランを考えたら良いのか知ることができたので、引き続き住む人の気持ちを重視しながら、より良いプランへブラッシュアップしていきたいと思っています。