【結果】子どもの教育に関するアンケート

U35プロジェクト「子どもの教育と移住」

実施日: 2023年8月10日(木)〜8月27日(日)
母数: n=90

フージャースでは、事業を通して社会課題・地域課題の解決に貢献していく存在の「ソーシャルデベロッパー」を目指し、「U35ソーシャル推進プロジェクト」を立ち上げています。詳しくは「U35 ソーシャル推進プロジェクト」社会課題・地域課題の解決に貢献していく存在へ(2023年7月14日掲載)で、紹介しています。

その中の子どもの教育と移住について研究しているチームでは、子どものために、より良い教育環境が整った地域に移住する『教育移住』について研究をしています。

全国には、インターナショナルスクールやオルタナティブスクールなどの、一条校※1以外の学校が増えおり、『教育移住』の事例も増えてきていますが、家族揃っての地方への移住はハードルが高いのが現実です。
その要因として、通わせたい学校の周りに家族で住める手頃な住宅がない。親や知り合いのいない土地で子育ては、困った時に頼る相手も居らず不安がある。またリモートワークで仕事ができる場合はいいのですが、転職を伴うこともあり、決断できずに断念するケースが多いようです。

※1「一条校」とは、学校教育法第1条に定められた学校の種類のこと。小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、大学、高等専門学校、盲学校、聾学校、養護学校及び幼稚園の10校を指し、いわゆる一般的に「学校」と称されるものが該当する。

インターナショナルスクール・オルタナティブスクールとは

■ インターナショナルスクールの特徴を下記にまとめました。

・英語が母国語の年少者のための教育施設
日本に住んでいる外国人年少者を対象に、母国やその地域の教育システムに基づいて教育をうける施設です。
幼稚園から高校までの一貫校が主な形態で、日本国籍の児童は入学できないスクールもあれば、少数ですが、半分の生徒が日本人という学校まで様々です。
・英語でのコミュニケーション能力が必要
インターナショナルスクールは「英語で学ぶ」教育施設のため、入学には英語でコミュニケーションが取れることが条件です。
学校生活の案内や先生とのコミュニケーションも全て英語のため、両親どちらかに英語力があることが求められます。
・学校教育法に基づいていない学校
ほとんどのインターナショナルスクールは、学校教育法に定められた一条校ではなく、各種学校としての扱いとなるため、卒業しても義務教育を受けていないと見なされる可能性があります。


■ オルタナティブスクールの特徴を下記にまとめました。

・学校教育法に基づいていない学校
オルタナティブスクールはヨーロッパやアメリカの哲学的思想を基盤に発展した「オルタナティブ教育」を取り入れた学校を指すことが多く、学校により教育理念や方針が異なります。
・子どもが主体となる学び、自発的学習を支援する
子どもの自ら学ぶ意欲を大切にした教育観に立ち、自律的な学びを支援しています。子どもの興味関心を中心に、生活のルールや学習プラン、行事も大人と子どもが話し合って決めていく学校が多いです。
・個性を尊重する
画一的な教育法ではなく、一人ひとりの個性を尊重し、基礎学習やテーマ学習を進めていくような傾向にあります。
・体験型学習が多い
実際に体験させる授業が多く、子ども達が興味関心の高いテーマ、手芸、工作、絵画、料理、演劇、農業、何かの研究等にも挑戦したりします。
・少人数で異年齢の子どもとも活動する
一般的には少人数なので、丁寧で密度の濃い教育を行うことができます。また異年齢の子ども達と一緒にする活動では、他の子を思いやる気持ちが育まれたり、子ども同士で学ぶことを体験できたりするなどのメリットがあります。

今回は、これらの学校情報をアンケートにて説明しながら、将来子どもを持ちたいと考えているご家庭、中学生以下の子どもがいるご家庭の方に、子どもの教育に関してお考えを伺いました。結果、90名の方にご回答いただきました。

 

子どもの教育に関する考えとしては、「子どもの自主性に任せた方がいい」52.2%と最も多く、次いで、「小さいうちはリビング学習がいい」48.9%、「小さい時から語学学習を進めたい」34.4%、「資金面だけは親がサポートすべきだ」30%となりました。
また、学校に関する選択肢では、「近くの公立の学校がいい」33.3%、「評判の良い公立に行かせたい」28.9%、「国際的な環境で学ぶことは大事だ」26.7%、「教育理念に共感できる学校に行かせたい」24.4%でした。

教育に関する考え方を受けて通わせたいと思う学校は、「公立小学校」77.3%と8割近く、中学では「公立中学校」66.7%「私立中学校」33.3%、「国立中学校」21.1%と公立以外の選択肢が増えてきます。
また一条校以外を選択した人を合計すると、3割近くになりました。ところが実際に通っている学校は、「公立小学校」97.7%、「公立中学校」75.0%と、公立がほとんどで一条校以外の学校に通わせている人はいないという結果でした。

インターナショナルスクールやオルタナティブスクールなどの一条校以外の学校があることを知っていた人は、インターナショナルスクール72.2%、オルタナティブスクール11.1%で、オルタナティブスクールの認知度が低いことが分かりました。
一方、興味があるかという設問では、インターナショナルスクールに興味がある人は43.3%、オルタナティブスクールに興味がある人は37.7%に増えます。このアンケートを通して、一条校以外の学校に興味を持った人も多くいる様です。

興味のある人に入学を検討、または実際に通わせているか聞くと、実際に通わせている人はいませんが、「通わせたい」「検討中」「検討したい」の人は併せて、17.3%でした。
また、「検討したが通わせていない」人は10.7%で、  興味のある人の約3割は、具体的に教育移住を検討する可能性があるかもしれません。

インターナショナルスクールやオルタナティブスクールを、「検討した結果通わせていない」、「通わせない」理由としては、どちらの学校も「通える距離に学校がない」60%以上、「学費が高い」45%以上%でした。もし学費が予算の範囲内で、通える距離に学校があれば検討対象になるという人が、6割以上いるともいえます。
また、オルタナティブスクールでは、引っ越しを伴う事での不安を感じている人は、「地縁の無いところに住む不安があった」14.3%、「学校周辺の住環境に不安があった」5.7%と少数でした。近くにオルタナティブスクールが存在しない時点で、引っ越し後のことまで考えられないようにも思われます。他に、「仕事を続けられなくなる」11.4%という声もありました。

子ども一人当たりの年間の学校外の活動(習い事、塾など)にかかる費用は、下記グラフのように、どの年代も10万円以下が最も多いことが分かりました。この結果は、公立小学校・公立中学校に通っているお子さんが多いことも影響しているかもしれません。

アンケートの結果から、インターナショナルスクールやオルタナティブスクールは、世の中の選択としてはまだまだ多くないことが、改めて分かりました。このような学校を選ばない人は、金銭面や移住、入学受け入れ人数が少ないこともネックになっているようです。

それでもこのような学校に興味がある・入学させたいと考える人は一定数いることも分かりました。教育移住は、まだまだハードルが高いことかもしれませんが、これらの一条校以外の学校の認知が進めば、教育移住は今後増えていくのではないでしょうか。

今回のアンケートでは明確なご意見はありませんでしたが、特に注目が集まっているオルタナティブスクールには、移住して子どもを通わせている人も多く、メディアなどでも数多く取り上げられています。
今後は、こういった方々のご意見を、直接伺いに行き、実態を把握していきたいと考えています。

 

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