吊るす緑
このコラムでは、これまで様々な方法を用いて、たくさんの緑を家や共用部に取り入れることを考えてきました。今回は、吊るす緑「ハンギンググリーン」について考えます。
ハンギンググリーン
天井や壁から吊るして飾れる観葉植物のことを、ハンギンググリーンと言います。ハンギンググリーンは、鉢の縁に3〜4箇所フックを設けて、ワイヤーやチェーンをかけて吊るします。そのため、植物を置く場所が限られていても、空間に立体的に緑を取り入れることができます。また、掛けたり吊るしたりできるサイズなので移動が容易だったり、立ったまま植物のメンテナンスが可能です。吊るすことで、風通しがよく蒸れにくくなるので、病虫害も発生しにくくなります。その反面、土の表面が乾燥しやすく水やりの手間が増えるのが難点ではあります。
ハンギンググリーンには、乾燥に強く、日陰でも育ち、高いところから垂れ下がる葉を楽しめる植物が向いています。例えば、アイビーやポトスといった蔓性の植物。また、セダムやグリーンネックレスのような多肉植物。サボテンなどもいいでしょう。天井から吊り下がるたくさんの植物の姿は、見た目にも楽しく圧巻です。
吊るす緑を取り入れたオフィス
建築家の西田司さんが率いるオンデザインの事務所には、このハンギンググリーンが積極的に取り入れられています。
排水がしっかりと設計されたオフィスの打ち合わせゾーンには、多くの植物が飾られ、水やりの際にはその場でホースから雨を降らせています。椅子や机も、アウトドア仕様のものを置いているので、濡れても心配ありません。照明も工夫し、防水性能のある外部空間用の照明を用いることで、濡れることを気にせずに自由に水やりができます。
みずみずしい植物に囲まれたこの空間は、まさに職場のオアシス。毎日交代でスタッフが水をやり、水を浴びたばかりの植物たちの生き生きとした姿は、スタッフの癒しや活力につながっているそうです。
マンションで吊るす
通常のマンションだと、天井下地の位置や荷重の問題から、ハンギンググリーンを自由に吊るすにはハードルがあります。今回考えたアイデアでは、天井にハンガーパイプを取り付け、自由に植物を飾ることを可能にしました。吊るして楽しむことはもちろん、部屋同士を緩やかに緑のカーテンで仕切ることもできそうです。
実際に植物を吊るしてみると毎日の水やりや植物から出る土埃などで、戸惑うこともあると思います。しかし吊るすことで空間を有効的に使えたり、育てるための工夫を家族で考えて作業を分担することで、コミュニケーションが生まれます。
自分で手をかけた分だけ、植物は成長します。つまり、時間をかけて自分が行ってきたことと、ゆっくりと成長し、元気な姿を見せてくれる植物はつながっています。こうして家族で試行錯誤しながら植物を育てることは、長い目で見て、植物の成長であり、家族の記録にもなっていくでしょう。
吊るす緑のある暮らしは、いかがでしたか?皆さんは、住んでみたいと思いますか?ぜひ、教えてください。
ミニアンケート