直売所で買い物をする

にしがきちはる / PIXTA(ピクスタ)

皆さんは、食事の買い物をどこでしますか?
スーパーでしょうか。それとも、コンビニや食材の宅配サービスといったものを利用していますか。

最近、街を歩いていると、直売所の看板をよく目にします。
地元のJAや観光協会が運営しているものから、農家さん直営の直売所もあります。中には単独の農家さんが作っている、無人の野菜スタンドといったものもあります。覗いてみると、新鮮な野菜や果物が並び、つい買い物をしてしまうものです。
実は、直売所の約7割は、この20年以内にできたもので、現在は23590店舗ほどあるといいます。この数は、皆さんがよく目にする某コンビニチェーンの店舗数よりも多いというので驚きです。

※出典:一般財団法人都市農山漁村交流活性化機構,農林水産物直売所・実態調査報告


誰から買うのか

普段、スーパーや食材の宅配サービスを使っていると、その食材が誰によって作られているかは分かりません。大規模農家さんによる大量生産は、食卓を支える上では非常に大切なことですが、誰が・どこで・どのように作ったか分からない一抹の不安もあります。
野菜は植物ですから、生産者さん一人ひとりによって、どの土地で、いつの時期に、どう作るのかで味が全く異なります。
昔、冬になると近所の人が、祖母の元へ大根を取りに来ることがよくありました。祖母の大根は適度な水分で甘みがあり、千枚漬けにするのにピッタリだったそうです。小さな集落の中でお裾分けをしていたので、各家庭の野菜の味をよく知っていたのでしょう。今から思えば、「この料理には、この人の野菜が合う」と選択できることは、とても豊かなことです。
ここまで親密にとは言えませんが、直売所も、生産者さんの顔が見えて、時期になればその人が出荷してくれる野菜を買うことができるので、味の安心感があります。いつもと少し違う味の年も、それはそれで楽しみとなりそうです。

 

正しい価格

一般的にスーパーで野菜が売られるまでには、値段の交渉が必ず発生します。この「一円でも安く」商品を仕入れなくてはいけない競争が、結果として農作物の価格破壊をよび、その皺寄せは農家さんに行きます。また、良い野菜が都心に一極集中するという流れも生まれます。
そんな思いはさせないと、農家さんのための、地域のための直売所をつくろうという動きが、出ているようです。
ある直売所では、何を、いつ持ってきて、いくらで売るのか…これらを全て生産者さんが自由に決めていいという仕組みを採用しています。農家さんも、自分たちが作ったものが適正な価格で取引されるので、商品改良にも力が入り、品物の質はさらによくなっていくそうです。そして、その美味しい野菜を、地域の飲食店がこの場所を通じて仕入れることができる。農家さんにも、地域にも嬉しい取り組みです。
良い野菜を提供するためには、直売所も生産者さんと密にやりとりをする必要があるので、スタッフの方は自然と野菜の調理方法や食べごろに詳しくなります。そして、それがお客さんの買い物の楽しみになっています。

 

生産者と生活者、地域、人をつなぐ直売所

いつ行っても、何でも、同じ質のものが揃っている便利さも大切ですが、季節感や顔の見える関係性を大切にしたいという気持ちも、私たちの中にはあります。それを叶えてくれるのが直売所なのかもしれません。そう考えると、直売所には、まだまだたくさんの可能性を秘めていそうです。
皆さんはどこで食材の買い物をしますか?たまには、直売所で季節の野菜と向き合いながら買い物をするのも、いいかもしれません。

 

ミニアンケート

直売所で、普段から買い物をしますか?

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