高齢者の欲しかった暮らしをカタチに
「シニア向け分譲マンションDUO SCENE」
【フージャースの建築めぐり】建築担当の裏話編
「フージャースの建築めぐり」シリーズの「建築担当の裏話編」では、作り手のこだわりや苦労した点など、広告やパンフレットでは知ることができない裏話に迫ります。フージャースのモノづくりに対するこだわりの姿勢を、感じていただけるかと思います。
高齢者の健やかな暮らしを実現
DUO SCENE(デュオセーヌ)は、フージャースが2013年から始めたシニア向け分譲マンション事業です。普通のマンションとも老人ホームとも違う、高齢者の方々が“欲しかった暮らし”を実現する住まいづくりをしています。健やかに齢を重ね、どんな時でも安心して暮らせる住まいは、どんな想いから様々な工夫がされているのでしょうか。デュオセーヌの理念とは?プロジェクト毎のこだわりとは?担当者が語ります。
建築担当者の紹介
フージャースコーポレーション
近藤 浩輝(2023年3月まで在籍)
「住むことで 健やかになるすまい」これがデュオセーヌのブランド理念です。これをどうしたら表現できるか、どうしたら機能として組込めるかというポイントにいつも頭を捻っています。この理念に基づいたモノづくりに加え、それぞれのプロジェクト毎に異なるこだわりがあります。
高齢者の住まいだからこそのこだわり
デュオセーヌは、バリアフリーなど高齢者施設に取り入れられる要素は導入した上で、更に独自の工夫を施しています。一般的なマンションでは共有部を1箇所にまとめて配置することが多いですが、デュオセーヌはその逆。毎日利用する大浴場とレストランをあえて離して配置することで、自然と歩く距離が増えるようにしています。スポーツや体操などの大きく体を動かす運動が困難な方もおられ、そのような方には歩くという日常動作が健康のために大切です。同じように、開け閉めしやすい引き戸だけでなく、開き戸も所々に設置することで、あえて日常の動作に負荷をかけるものとしています。
床のカーペットは高級ホテルのような毛の長いものにすると、シルバーカートが引掛かるなど転倒の恐れがあることから、素材選びにはかなり気をつけています。高級感や柔らかい歩行感は残しながら、安全性のあるモノを常に選定しています。共用階段にもカーペットを敷いている点が、一般的なマンションでは見られない特徴です。エレベーターがあるマンションでは、階段はほぼ使われないため、コストカットする部分です。デュオセーヌでは、多くの方が日常の運動として階段を利用します。そのため、コストをかけても“快適な上り下りであること”は重要と位置づけ、カーペットを敷きとする選択をしています。
このような工夫は、当社で思いつくだけでは無く、運営社員と居住者の方との日々の会話の中で気づきと学びがあり、それをフィードバックしていく事で生まれています。それが商品として常に進化していけるモノづくりの体制かと思います。
デュオセーヌの理念とは別に3つの原則を意識し、モノづくりを行っています。
1.棟内で良い時間が過ごせること
2.心地よい居場所があること
3.出会いを紡ぐ場所であること
ざっくりした内容ですが、設計やデザインをする上で、常にこれが成立しているか意識しながらプロジェクトを進めています。
今回はデュオセーヌ国立とデュオセーヌ大宮の事例を紹介します。
街とつながるデュオセーヌ国立
デュオセーヌ国立の一番の特徴は、地域に開けた芝生の公園があることです。
本プロジェクトは大規模マンションであるため、条例に基づき敷地の一部を切り取り提供公園※1を造る必要がありました。提供公園はマンション敷地とは別敷地とするため、壁やフェンスなどで区切るのが一般的。しかし、そうしてしまうと街との繋がりが失われ、コミュニティ形成が難しくなると考えたため、提供公園ではなくマンション側が管理する自主管理公園にするよう、市と協議を重ねました。自主管理公園にすると管理費などは発生してしまうものの、街に開けた誰もが使いやすい空間にすることが可能です。自主管理公園にすることは市として前例が無かったため、許可を得るまでには多くの苦労がありましたが、今では保育園のお散歩コースになったり、ハロウィンなどのイベントが開催されたりと、私達が想定した以上に地域の方に利用される場所となったので嬉しく思っています。
公園を見渡すように配置したレストラン※2も、地域の方が利用できるようにしました。自治会の集まるスペースがなかったという地域の課題を解決できたほか、地域の方とのコミュニティ形成の場となっています。
さらに、この公園の一角に設けた菜園も、予想以上の人気が出ています。嬉しい誤算であったと同時に、高齢者の方たちは、子どもたちも独立して何かしらの寂しさを感じているのではないか、何かを“育てる”ということがその寂しさの解消に一役かっているのではないだろうかと気付かされました。こうしたハード面に加え、公園を管理するガーデンキーパーの存在も、ここでのコミュニティ形成に大きな役割を担っています。
・デュオセーヌ国立 ガーデンキーパー森井真理子さんに聞く
緑を通して、癒しとコミュニティを育む
https://www.hoshikatta-kurashi-lab.com/coverage/6117/
・完成までのストーリー
「こんにちは」「元気に育ってる?」会話のきっかけは、街の菜園で。
https://www.hoosiers.co.jp/kurashizukuri/project/08/
デュオセーヌ大宮
デュオセーヌ大宮のコンセプトは「環境創造と街との調和」です。
どのプロジェクトにも共通することですが、ものづくりは最初にどんな土地に、どんな建物が建つことになるかを把握することから始まります。デュオセーヌ大宮は266戸とデュオセーヌでも最大規模の物件です。広い視点で捉えるため、近くを通る新幹線に乗り、車窓からどれだけ建物が見えるのか検証しました。次に近い視点で見るため、周辺を練り歩き、この土地がどういう土地だったのかも調査。この2つの視点から、このエリアのランドマークになる建物であること、周辺に広がる戸建てに調和するデザインであること、を中心に据えて進めていきました。
建物には表側と裏側があり、よく見えてくる表側のほうのデザインにより重きを置くのが一般的です。しかし、デュオセーヌ大宮は裏に当たる面が新幹線からもしっかり見えるため、こちらにも表と同等のデザインを施しています。落ち着きがあり、戸建てのスケール感で格子状に区切ったようなデザインにすることで、周辺に調和するようにしました。
デュオセーヌ大宮ではデュオセーヌ国立のようにレストランを外部利用出来るようにはしませんでしたが、レストランのテラス席を植栽豊かな遊歩道側に設け、街の雰囲気だけでも共有できたらと考えています。この遊歩道は、本プロジェクトの計画地に元々建っていたスーパーの歩道の役割を残したものでもあります。地域の方が慣れ親しんできた場であり、スーパー側が自主的に造り安全面に配慮してきた歩道がなくなることを不安に思う方もいました。
そういう土地の歴史と地域の方の声も大切にしたモノづくりが出来るよう心掛けています。
・暮らす人のストーリー
これからは、充実した暮らしを自分たちのペースで。
https://www.hoosiers.co.jp/kurashizukuri/project/20/
・完成までのストーリー
緑と空を感じながら、大切な人たちと過ごす時間。
https://www.hoosiers.co.jp/kurashizukuri/project/18/
住む“建物”を超える、デュオセーヌの役割
デュオセーヌに住む方々は、単に住む場所を買うというだけではなく、これからの人生を充実させることも住まいに期待していると感じています。そのためには、ハード面での造り込みに加え、ソフト面の満足度も向上することが重要だと考えています。これに関しては、今後もずっと続いていく課題だと思っています。
デュオセーヌに限ったことではありませんが、やはりお客様の声を聞いて反映させていくことが、欲しかった暮らしを叶えるためには大切なことです。常駐する運営社員がいるというデュオセーヌの利点を活かし、今後もその観点を大事にしたモノづくりをしていきたいと思っています。
デュオセーヌ国立
所在地:国分寺市西町一丁目
交通:JR中央線「国立」駅より徒歩22分
総戸数:228戸
階数:5階建て
竣工:2019年11月
デュオセーヌ大宮
所在地:埼玉県さいたま市北区大成町
交通:JR「大宮」駅より東武バスウエスト約5分、「大成三丁目」バス停留所下車徒歩8分・埼玉新都市交通「鉄道博物館」駅より徒歩8分
総戸数:266戸
階数:10階建て
竣工:2021年8月
・両物件とも、グッドデザイン賞を受賞しています。
フージャースのGOOD DESIGN AWARD 受賞物件
https://www.hoosiers.co.jp/kurashizukuri/award/
・デュオセーヌの完成までのストーリー
明日は、来年は、何をしよう。年齢を重ねることが楽しみになった。
https://www.hoosiers.co.jp/kurashizukuri/project/05/
・デュオセーヌの詳しい情報
「シニア分譲マンション」DUO SCENE