居心地の良いエントランスホール Part.1

【フージャースの建築めぐりvol. 03】エントランホール編

フージャースでは、多くの人の「欲しかった暮らし」を届けたいという想いから、住まいづくりをしてきました。このシリーズでは、普段はあまり意識することがない、建物づくりにおける細部へのこだわりを紹介していきます。

前回は、エントランスアプローチとして建物に入るまでを紹介しました、今回はエントランスホールです。
マンションには建物全体の玄関となるエントランスホールがあります。エントランスホールは、アプローチ空間と連続してマンションの品格を表しています。エントランスホール内には、ソファーのあるラウンジがあります。ラウンジは、来客の応対や、待ち合わせ、入居者同士のちょっとした会話の場や、くつろぎの場としての役割があります。

エントランスアプローチ編では、アプローチのデザインには、「引きをとる(道路からからエントランスまでの十分な奥行きを設けること)」、「大きく構える(エントランス部分に幅を持たせ、大きく立派に構えること)」という2つのポイントがあり、その「ヒキと構え」を意識していることを書きました。一方、エントランスホールのデザインでは「ヌケと居心地」を意識しています。

ヌケとは、エントランスホールの空間を、吹き抜けや開口部により視覚的により広く見せることです。どこをどう抜くかで、ヌケ感は変わってきます。ガラス窓を通して、エントランスホール(内部空間)と屋外(外部空間)をどうつなぐか、ガラス窓を通してそこから何を見せるか、建築担当のこだわりが感じられる部分でもあります。
居心地には、ヌケによって得られる広がり・光・景色が大きく作用します。またエントランスホールを通過する人との適度な距離を保つことも、居心地の良さに影響します。また、エントランスホールは、マンションの規模によって、広さやしつらえが変わりますが、どの物件にも「ヌケと居心地」を考えた工夫を凝らしています。

今回の記事では、大規模物件での空間をおおらかに見せる「広がりのあるエントランスホール」の実例を見ながら、ご紹介したいと思います。
次回の記事では、小規模物件での「こじんまりしながらも居心地のいいエントランスホール」をご紹介します。

 

空間をおおらかに見せる「広がりのあるエントランスホール」

大規模物件では、エントランスホール部分を2階までを吹き抜けにすることがあります。そこに生まれた広く高い天井空間は、堂々とした品格を感じられるホールになります。また、ソファーに座った時や歩いている時の目線の先に、外の緑や空が見えることで、外の景色とつながり、おおらかで居心地のいい場所となるようにデザインしています。

この大きなガラス張りで吹き抜け空間を外から見ると、エントランスホール部分全体が一つの大きなガラスの箱のように見えます。それは、外観のデザインにも影響を与えます。また、周囲の街並みとも融合するように、色調や植栽も考えてデザインしています。

ガラス張りのエントランスホールは、夜になると、室内の暖かい光が外に漏れ、夜道に光をもたらす行燈(あんどん)のような効果もあります。

また、吹き抜けではなくても十分に広がりのある空間は、大きなガラスから見える緑と差し込む光、室内の照明や家具配置なども十分に計算されています。それにより一層おおらかで居心地のいい空間を演出することができます。

デュオヒルズ・ザ・グラン
千葉県柏市 2018年9月竣工

吹き抜けと広い空間のエントランスラウンジ。柱と梁よりも外側にガラスの壁面を設けることで、広いヌケがあります。窓から見える緑、空の青さ、ヌケによる解放感と、室内のgreen wallが一体となって、広々としたくつろげる空間を作っています。
特に正面のガラスは、初期設計の段階から構造を検討して、梁をなくし、2層分の高さがある大きなヌケを実現しました。

道路に面して作られたエントランスホールの大きなガラスの箱は、街の景観にもインパクトを与えています。夜になると、エントランスホール部分の大きなガラスの箱は、街に対して行燈のように明るさをもたらしています。

デュオヒルズ東川口
埼玉県川口市 2017年8月竣工

広いエントランスホールは、家具の配置により空間を分け、広々とした空間に複数の居場所を設けています。

広がりのあるエントランスラウンジ。吹き抜けのように天井は高くはありませんが、折り上げ天井と壁のニッチ、間接照明の柔らかい灯りが、空間に広がりと心地よさを演出しています。

道路側に大きく開けた窓から見える外の緑と差し込む光によって、広い空間を一層広く感じさせてくれます。

 

今回は、大規模物件の空間を、おおらかで居心地よく見せる「広がりのあるエントランスホール」を紹介しました。次回は、小規模物件での「こじんまりしながらも居心地のいいエントランスホール」を紹介します。

シリーズ記事
【フージャースの建築めぐり】
vol. 01植栽編「季節の移ろいを感じる木のある暮らし」
vol. 02エントランスアプローチ編「建物の品格を表す玄関」
vol. 03エントランスホール編「居心地の良いエントランスホール Part.2」