洗濯を中心に暮らしを考える
『Bigランドリー』のある暮らし
毎日の洗濯を考えるにあたり実施した「洗濯に関するアンケート」からは、多くの気づきを得ることができました。結果は2回に分けて、前編では数値の報告を、後編では皆様の洗濯への思いや工夫・要望を中心としたフリーコメントを紹介しています。
【結果】洗濯に関するアンケート(前編)(4月9日掲載)
【結果】洗濯に関するアンケート(後編)(4月23日掲載)
現在、「欲しかった暮らしラボ」では、洗濯を中心に暮らしを考えた『Bigランドリー』のある暮らしを考えていますが、アンケートの結果はその裏付けにもなりました。今回はその中でも、特に注目した結果について考察します。
アンケートでは、洗濯を楽しいと感じている人が30.5%で、主な理由は「さっぱりするから」「洗濯後にいいニオイがするから」「汚れが取れるから」でした。ところが、洗濯は面倒と感じている人は52.4%と半数を超えています。洗濯して衣類がきれいになることは楽しいが、その工程が面倒だと感じている人が多いようです。
洗濯には、1. 洗濯前の仕分け、2. 下洗い、3. 洗う、4. 干す前の準備、5. 干す、6. 取り込む、7. たたむ、8. しまう、といくつもの工程があります。そしてそのほとんどが手作業で、洗濯機で洗うこと以外は自動化できない工程ばかりです。
そして、その作業に要する時間は、毎日洗濯している人で「30分超~1時間以内」という人が41.4%、「1時間以上」という人は26.1%です。毎日洗濯をしていても、常にこれだけの時間を要しているのです。
洗濯は、家事の中でもアウトソーシングしにくいものだと思います。食事は、外食やテイクアウト、食材の宅配や時短調理器もあります。掃除は、お掃除ロボットもあれば、ハウスクリーニングもあります。しかし洗濯には、下着も含まれているので、なかなか人に頼むことは憚れますし、クリーニングでお願いできる物にも限界があります。せいぜい洗濯機の機能が良くなり、洗濯をまわす時間が短くなるか、乾燥器の利用で天候に左右されなくても良くなるぐらいです。それでも洗濯の数ある工程は、ほとんど減りません。特に、洗濯物を「干す」、「たたむ」の工程を面倒と感じている人が、合わせると半数以上になるのも、無理がないように思います。
次に洗濯物を干す場所についてアンケートの結果を見てみます。
複数回答ではありますが、62.5%の人が、洗濯物をベランダなど室外に干していいます。一方、室内に干している人の割合は、「室内の窓際に干している」28%、「室内の窓から離れたところに干している」25.3%、普段はベランダに干しているが、天候や洗濯物の種類によっては室内干しを併用している人なども含まれており、室内干しをしている人は全体の約半数なります。
共働きや子育ての中の家庭のうち36.4%の人は、全くベランダに洗濯物を干さずに、室内干しまたは乾燥機を利用しています。また、43.5%の人は、ベランダに干しつつ室内干しや乾燥機も併用しています。この人たちが洗濯をしている時間は、全くベランダに干さない人では、朝が15.2%、夜が45.7%で、ベランダに干しつつ室内干しや乾燥機を利用している人では、朝が42.7%、夜が23.6%でした。このことからも、共働きや子育て家庭の約8割が室内干しや乾燥機を使用しており、また約3割が夜に洗濯をしていることから、外に干して太陽に充てることより、暮らしの効率を重視していることがわかります。
アンケートで室内干しをしている人からは、「家の中なら花粉も気にならない」、「雨の心配がない」、「夜に洗濯するので、外に干す必要がない」、「部屋に干すと冬場の加湿にもなる」、「子どもがいるのでベランダで物干しができない」といった声がありました。しかし室内に干していても、「日光に当てたい」、「早く乾かしたい」という理由で窓側に干している人もいました。
最後に洗濯スペースや物干しスペースの設計に対する要望では、「洗面所のスペースが狭い」、「干場までの導線が悪い」、「洗濯前や洗濯機から出した後の作業スペースが欲しい」、「洗面所に収納があるといい」、「室内干しでも日に当てたい」などの声が上がってきました。
家事の時短や、新型コロナウィルスの影響で着たものをすぐに洗いたいなどの気持ちを考えれば、洗濯時間の短縮のニーズは今後も増えるでしょう。洗う・干す・たたむ・しまうを一か所にして、洗濯がもっと楽しく、効率よくできるようにと考えた間取りプランが『Bigランドリー』です。
『Bigランドリー』では、洗う・干す・たたむ・しまうの一連の作業を、全てランドリールームで行えるように考えました。
■干す
洗濯機の近くのカウンター上にハンガーパイプを設置し、その場で洗濯物を干すことができます。乾燥は、洗濯機の乾燥機や浴室乾燥機、または室内物干しと除湿サーキュレーターによって乾かします。そして、それらを併用することもできます。水を吸って重くなった洗濯物をバルコニーまで運ぶ重労働がなくなり、洗濯機から取り出してそのまま干せるので効率も良くなりま す。また、天候に左右されることなく、洗濯を干すことができるようになります。
洗面所で干す準備をした洗濯物を、リビングを通らずに、外の干し場まで運べる動線を確保しています。アンケート結果でも「洗濯物は外に干したい」という声が多く、その際の動線上にはストレスを感じているという意見もありました。そのストレスを少しでも解消できるプランにしました。
■たたむ
洗面所にカウンターを設置して、物干しから外してそのままたためる、そしてアイロンがけもその場でできるようにしました。カウンターの下には、ランドリーボックスが収納でき、洗濯物を分類し入れることが可能です。また、家族4人分のタオルや下着がしまえる可動棚やリネン庫も設置されていて、お風呂から出た後に体を拭くことや着替えもスムーズに行えます。
■しまう
大型のファミリーウォークインクローゼットを洗面所とつなげて設置したことで、洗濯した衣類をすぐにしまうことができます。日常的に利用するクローゼットとしても、家族4人分のシーズンものをしまっておくクローゼットとしても利用できる十分な収納量を設けました。
この『Bigランドリー』により、時間や天候を気にせず洗濯ができて、取り込んだ洗濯物をたたむまでの間、リビングに一時置きする必要もなく、たたんでそのままリネン庫にしまうことも可能です。ハンガーのまま収納するものは、そのまますぐ近くにあるファミリーウォークインクローゼットに移動するだけです。
毎日の洗濯が少しでも効率化できれば、家事の負担も少しは軽減されると思います。また、たたんだ洗濯物がいつまでもリビングに残っているという光景や、「洗濯物を早くしまって」という親子のストレスも減るのではないでしょうか。
『Bigランドリー』を設けることで、部屋数が少なくなったり、各個室の収納スペースが若干狭くはなったりしますが、結果としてファミリーウォークインクローゼットがあるので効率的な収納スペースが増えます。3LDKにお住いの家庭でも、一部屋物置になってしまっていることも多いでしょう。その一部屋が、『Bigランドリー』に変われば、使い勝手も良くなります。そして、家庭における日々の小さな負が解消され、家族の笑顔が増えれば、洗濯も楽しい家事になるのではないでしょうか。
アンケートを読み込むことで気づくことは、まだ他にもあります。洗濯を中心に考えた暮らしを提案できる間取りプランを、引き続き検討していきたいと思います。
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