ワクワクする空間
建物を見たときや、建物の中に入った瞬間にワクワクした経験は、誰にでもあると思います。空間で感じるワクワクする気持ちはどこからくるのでしょうか?
そもそも建物を見てワクワクする気持ちとは何でしょう。今まで見たことがない新しいものに出会った時に沸き起こる気持ちだったり、子どもの頃に感じるノスタルジックな気持ちだったりと、人それぞれです。
そういった気持ちを沸き起こす空間を考えてみると、屋根裏や地下室、部屋といえるほどの広さはない小さな空間、土間、リノベーションできる空間などがありそうです。
今回は、特に冒険心や遊び心、想像力を掻き立てられるようなワクワクする空間について取り上げます。まずは、ワクワクした経験がある空間を思いつくままにあげてみて、なぜその空間でワクワクするのか、その理由を考えてみました。
①屋根裏、地下室、離れ
家の中の他の部屋とは独立していて、そこへはハシゴや階段で行ったり、または外に出てから中に入ったりと、隠れ家にいるような感覚になるから。
②部屋といえるほどの広さはない小さな空間、押し入れの中
程よい狭さで、手の届く範囲に自分の好きなモノを並べて、自分だけの空間にできるから。
③吹き抜け空間、吹き抜けに上がる階段、ロフト
普段、家の中では目線の高さが変わることはあまりありませんが、空間を立体的に利用することで、目線の高さが変わり新鮮に感じられるから。
④リビングバルコニー、縁側、大きな窓辺
外なのに中にいるような、中なのに外にいるような屋内と屋外があいまいな中間領域に、居心地の良さを感じられるから。
⑤ガレージ、土間
⑥囲炉裏、暖炉のある部屋
本来は屋外でしか見ることができない焚火のような炎を室内で見ることができ、その炎のゆらめきに温かさと癒しを感じられるから。
⑦コンクリートや配管がむき出しの空間
普段は内装で隠されて見えない躯体や設備に力強さを感じ、飾り気のない引き算されたカッコよさを感じられるから。
⑧リノベーションやDIYができる空間
つくるプロセスから参加して、自分で手を加えることができるから。自分の好みやライフスタイルを存分に反映させた、他にはない空間ができるから。
こうして書いてみると、8つの事例の共通項に気づきます。
・機能よりも感性に響く空間であること
・自分で手を加えられる余白があること
・自分の趣味やライフスタイルが表現できること
前回のコラム(「ツカノマの幸せ」2021年2月12日掲載、「Refresh・Relax・Resetできる空間『Re: Room』」2021年3月19日掲載)で掲載した「ツカノマ」と「Re: room」では、日常の中でちょっと一人になれる幸せな空間のことを書きましたが、「ツカノマ」と「Re: room」は、自分の趣味やライフスタイルが表現できるワクワクする空間でもあります。自分の趣味や好きなものに囲まれた空間にすると、それは一層です。
このように分類してみると、一般的な分譲住宅にはワクワクする空間が少ないとあらためて思います。それは、分譲住宅は注文住宅と違い、販売価格や、機能面が優先されてしまうのが実情だからです。
ワクワクすることは、誰でも気分がよいものですが、それだけではなく脳科学的に、実年齢と関係なく脳寿命を長くするそうです。また副交感神経の作用にも影響して免疫力の向上にもつながるそうです。つまりワクワクする気持ちは、その時の気分が良いだけではなく、心身に良い影響があるといえそうです。
皆さんの家には、ワクワクする空間がありますか? ぜひそのスペースの使い方や、そこにいるときに感じる気持ちを教えてください。
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