女性の家事を考える

NOBU / PIXTA(ピクスタ)

11月22日は「いい夫婦の日」です。これを機に、女性の家事について考えてみたいと思います。家事が好きで人に任せたくないという人も多くいますが、共働き世帯が増え夫婦間での家事分担の意識は、昔よりは高まってきています。ところが、まだまだ女性の家事負担の割合が大きいのも現実です。欲しかった暮らしラボでは、「男性の家事を考える」(2020年2月21日掲載)のコラムにも書きましたが、家事は女性だけが負担するものではなく、男性の家事参加によって楽しむための家事に変わっていく、という考えもできます。暮らしの大事な要素である「家事」に、もっと積極的に向き合っていく時代が来ているように思います。

家事の実態

欲しかった暮らしラボでは、昨年、家事の実態を明らかにするアンケート「家事と食事についてのアンケート」(2019年11月8日掲載)を実施しました。

この調査では、家事は好きですかという問いに、32.5%の人が嫌い(「どちらかと言えば嫌い」、「嫌い」の合計)と回答し、家事が苦手な人は27%(「どちらかと言えば苦手」、「苦手」の合計)でした。家事を合理化したい人は94%とほぼ全員で、やらなくていいならしたくない人は69.8%、分担したい人は73.4%もいました。家事の好き嫌い、得意不得意に関係なく、大多数の人が家事の合理化・分担を望んでいる結果となりました。
家事の分担が進まない理由として、夫婦の労働時間に差があることの他に、「やってるつもり」では認められない夫婦間のギャップや、出しっぱなしのものを片付けるなどの「名もない家事」が山ほどあるからではないでしょうか。

国立社会保障・人口問題研究所が発表した「第6回全国家庭動向調査」よると、妻と夫の1 日の平均家事時間は、妻は平日263分(5年前に比べ17分減)、夫は平日37 分(同6分増)と、5年前に比べて夫の家事時間が増えているとはいえ、夫婦の家事時間に大きな差があることがうかがえます。また共働き家庭では、妻の1日の平均家事時間は187分で、3時間ほどで家事をこなしているという結果でした。
そこに12才未満の子供のいる家庭の平日の1日の平均育児時間378分が加わると、共働き家庭の妻は、家事・育児に約10時間近くを費やしていることになります。夫婦の育児分担割合は妻が8割前後、夫が2割前後と、妻の負担が圧倒的に多い結果となっています。

自分自身の経験からも、仕事・子育て・家事が重なる時期は、日々時間が足りませんでした。仕事後、19時半に保育園に迎えに行き、帰りにスーパーに立ち寄り、家に着いてから食事の準備。食後は、子ども達をお風呂に入れて、寝かしつける。毎日どのように過ごしていたのか、思い出せないほど目まぐるしい日々でした。15年ほど前は、家事支援という言葉も一般的ではなく、家事支援サービスも高価なものでした。当時、今のような家事支援サービスを利用でき、お迎えに行って帰宅すると既に夕食ができていたら、どんなに有意義な時間を過ごせたことか。余裕があると子どもにも優しく接することもでき、成長期に必要なスキンシップの時間をもっと持てたのではないと感じます。

家事や育児を楽にするために

家事・育児の負担やストレスを解消する工夫として、家電や家事支援サービスを利用して「家事をやめてみる」、家族で家事をシェアしたり、ひと工夫のアイデアで「家事の工数を減らしてみる」、家事や周囲との「向き合い方を変えてみる」などが考えられます。

「家事をやめてみる」では、食洗器やロボット掃除機などの高機能家電の利用や、圧力鍋や低温調理器、スチームオーブンレンジなどの調理家電を暮らしに取り入れてみたり、家事支援サービスを利用してみると、自分の時間を作り出すことができます。
最近では、依頼先の冷蔵庫にある食材で、わずか3時間で1週間分の本格的な料理を作り上げる家政婦タサン志麻さんの影響で、家政婦や出張シェフの認知度も上がってきました。全てをお願いするのではなく、苦手なことや手の届かないことをお願いするのです。サービスによっては、料理のレシピや、掃除のテクニックを教えてもらうことができるものもあります。
家事をやめてみるといっても、得意な家事や時間をかけてやりたい子育ては自分で行い、苦手なことはサービスを利用すると考えると、家事支援サービスを利用するハードルも下がりそうです。また、家事支援サービスを使うことで、家事のお手本ができ、苦手な家事が自分でできるようにもなります。家事をやめてサービスを利用することが、後々の自分のスキルアップにもつながり、長い目で見ても、家事を楽にすることになります。

「家事の工数を減らしてみる」では、安心安全な食材を使い、一食分の食事を必要な分、下ごしらえした状態で届けてくれる食材宅配サービスを使っている家庭も増えてきています。一方、家事は毎日のことなので、若いころから「自分のことは自分でする」習慣を身に着け、家族から家事を学び、手伝い、家庭内の家事を顕在化することで、家事を手際よく、自分自身で出来るようになることも大切です。夫婦間でも、互いが実際におこなった家事の時間や内容をノートに可視化してみると、予想以上に時間がかかっていることや、お互いの負担が見え、分担もスムーズになるでしょう。

「向き合い方を変えてみる」では、断捨離を提唱したやましたひでこさんの言葉を紹介します。やましたさんは家事のことを「命を育む大切な仕事」と言っていました。誰かのためでなく、自分のためにすること。自分のためのことだから、完璧にやろうと意気込むのでなく、ある程度の状態でよいと捉え、家事との向き合い方を変えて、うまく付き合ってみる。その時に大切な視点は、無理をしない、頑張らない、自然体。そしてハードルを少し下げること。自分のためのことと思うと、不思議なことに「やらされている」感は少し減ってくる気がします。

家事支援サービスを、もっと有意義に使いたい

家事は日々のことだけに、簡単に向き合い方を変えることは難しいでしょうが、少しずつ変えていくためにも、家事支援サービスを有意義に使ってみてはどうでしょうか。

育児支援に対しては、既に国や行政において様々な取り組みが行われていますが、家事支援サービスに対しては、2015年1月に『女性が輝く社会』を実現するために、安価で安心な家事支援サービスを利活用できるように、家事支援サービス事業者ガイドラインが策定されました。
当時、家事支援サービスの認知度は徐々に上がってきているものの、利用者は約3%に留まっており、大半の人が利用しない理由として、価格面の他に、サービスの利用に当たって「不在時に知らない人に家の中に入られること」への抵抗感や不安感も挙げられていました。ガイドライン策定により、安心・安全な家事支援サービス事業者が認証され、その数も増えてきています。

家事支援サービスを利用するメリットとして、生活に余裕ができる、足りない時間を補ってもらえる、ストレスの軽減につながる、家がきれいになるなど様々です。そのメリットを女性が活躍するためだけでなく、日々の生活の手助けや、家族の時間を作る為に利用していくのもいいと思います。
家の家事を全て代行してもらうのではなく、一部の家事に限定することで価格設定を抑えられたり、利用者の不安を除く目的で、留守中に作業しているスタッフの様子を、スマートフォンやタブレットで確認できるシステムを導入している会社もあります。家事支援サービスとは意識せずに、エアコンクリーニングなどを、利用している人も多いかもしれません。高齢になれば、買い物代行などもお願いする機会もありそうです。育児の時期と重なれば、助けて欲しいことは、いくらでもあります。育児支援の一環として、家事をサポートする制度のある行政も増えてきました。育児の負担・ストレス・不安を一人で抱え込まないように、代行してもらえる家事はサービスを利用してみると良いと思います。

不動産管理会社が、窓口になっているハウスクリーニングや家事代行のサービスもあります。いい夫婦の日を機会に、家族の時間を見つめ直し、家事との向き合い方について話し合ってみてはどうでしょうか。たまには日常の家事をプロに頼んで、家族の有意義なひと時を過ごしてみてはいかがでしょうか。

ミニアンケート

家事支援サービスをスポットで利用したことがある

お答えいただくとこれまでの結果が表示されます。

Loading ... Loading ...

家事支援サービスを定期利用したことがある

お答えいただくとこれまでの結果が表示されます。

Loading ... Loading ...