シェアハウス vol.05

―複数の拠点で暮らす、または複数の部屋をもつ

民泊を行っているこの家では、居住者と宿泊者が一緒に朝ごはんをつくる。

何回かにわたって書いてきたシェアハウスですが、もう少し思考を広げてみましょう。今回はこうしたシェアハウスを2箇所、または3箇所持つという方法です。友達とシェアしてもいいかもしれません。ひとつの場所に長くいると、そこが息苦しくなることもあるかもしれません。気分を変えて新たな場所で暮らすというのも悪くありませんし、または行ったり来たりするというのもあるでしょう。

前回のコラム「コレクティブハウスに子ども世帯と親が別々に暮らす」で少し書いたのですが、どうしてもひとつの場所に長くいるとコミュニティー内の強い関係性が面倒になったりすることもあるかもしれません。そこで複数の場所をもつことで、本人も行き来ができたり、また友人などを連れてきたりすることで、いつもと違った人がコミュニティー内に入り、刺激的な交流がうまれるかもしれません。閉じすぎず、しかし広がりすぎない適度な人間関係を維持していくのです。その意味ではシェアハウスに気軽に人が泊まれるゲストルームがあるとよいかもしれません。

民泊を共同で運営する。

少し唐突ですが、シェアハウスの住人達と共同で民泊やゲストハウスを運営するというのはどうでしょうか。昔からコミュニティーを活性化するには「よそ者、馬鹿者、若者」が大事だとも言われます。また「風の人、地の人」というように外からの旅人はコミュニティー内に新しい風を通し、よい刺激をもたらします。民泊やゲストハウスを運営して外部の人が出入りできるようにするのも楽しいかもしれませんし、仕事としてやれば、住人のやりがいにもつながります。人生経験豊富な高齢の人が運営するゲストハウスは日本の暮らしぶりを体験する上でも、海外からくる旅行者の人気になるかもしれません。

以前取材した方で70歳になる女性ですが、自宅で民泊ビジネスをしている方を取材したことがあります。英語は片言の簡単な言葉のみ、家に滞在者がいれば一緒に食事をつくってあげるそうですが、これが大人気になって予約が満杯になっているとのこと。宿帳のようなノートには世界中の若者の手書きのお礼が書かれていました。「私には孫が世界中にいるんだ」、といっていたのが印象的でした。

どちらの例でも、コミュニティーの中に少しだけ開いた人の流動性があること。そこにポイントがあるのではないかと思います。

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