日常を見直してみる

Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)

今回の新型コロナウイルスの拡大で、当たり前だったことが、ある日を境に突然当たり前でなくなるということを私たちは体験しました。

会社に出社すること、会議での席次(この記事を配信する数日前にWeb会議サービスのZoomが、会議参加者のビデオ画面を並び替えて席次を決められる新機能を発表して、話題になっていますが)、飲み会での「一杯目はビール」がオンライン飲み会によって好きなものを飲めるようになったことなど、これまでの当たり前が変わってきているように思います。
住宅業界でも、テレワークが始まったり、子どもの遊び場が家に変わったりしたことから、賃貸住宅が手狭になり、郊外の広くて部屋数のあるマンションや戸建て住宅が見直され、ローコストの戸建てニーズが高まっているという話も聞きます。ただし、これはテレワークの実施率が高く、賃貸住宅が狭い首都圏で特徴的に出ている傾向で、地方に行けばいくほど住宅に関するコロナ禍の影響は小さくなるという見方もあります。

これまで社会には、 “そういうものである”という「神話」が多数存在していました。しかし今、誰もが初めてのコロナ禍に置かれ、まっさらな目で物事を見た時に、私たちが「そういうものだから」という理由だけで行ってきたことに対して、今までの常識を疑うようになりました。結果、何となくで理由が説明でないものは削除の対象となり、今後は急速に支持されなくなっていくように思います。

こういった変化から、私たちは日常生活を見直し、無駄なものが無くなってできた余白に意識を向け始めるようになっていると思います。例えば、気になっていた家の片付けをした、ひと手間かかる料理に挑戦した、自分の趣味を楽しむようになった、ペットを飼い始めた、ガーデニングに挑戦したなど、家での暮らしを楽しんでいる声をよく耳にするようになったのも、その表れだと思います。

また、余白の時間が増えただけでなく、外で楽しさを味わう機会が減った分、家で過ごす時間を、楽しくて豊かなものにしたいという人々の気持ちは、このコロナをきっかけにあらためて強くなっているのではないかとも思います。そして、もしそうだとしたら、人々の家に対する関心は、部屋数や広さ、使い勝手以外にも、遮音、断熱、通風などの住宅性能や、家具の配置のしやすさや、窓の大きさ・天井の高さ・柱や梁の出っ張りといった、家の「ゆとり」や「居心地の良さ」の作り方の見直しにもつながっていきそうです。
また、今までの家づくりはステイタスやプライドを満たす対象として、高級感やラグジュアリーを意識していた部分がありますが、家族が日常を過ごすなかで使いこなす家へと変化したことで、生活感があってもかっこいい家に見えることや、散らかっていても居心地がいい家といった、普段使いの道具としてのかっこよさや心地良さが求められていくようにも思います。

ワークスペースや衛生面に対応することも課題ですが、新型コロナウイルスをきっかけに、私たち「ほしかった暮らしラボ」では、食事、睡眠、料理、洗濯、掃除、育児、趣味、など家での何気ない日常にあらためて目を向け、家で過ごす時間をより豊かなものにすることを考え直しています。住宅や暮らしという商品・サービスを提供する企業として、神話のような思い込みで物事を判断していないか、説明できないことが混ざっていないか、今一度丁寧に見直すタイミングにきている、そんなふうに考えています。

ミニアンケート

新型コロナウイルスがきっかけで、家の住み替えを検討した

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新型コロナウイルスがきっかけで、家を住み替えた

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