コロナによって変わった暮らしへの解像度

―「ちょっと」という解像度

Halfpoint / PIXTA(ピクスタ)

アフターコロナで何が変わるのか。今、世の中では連日そうした議論がたくさん行われています。多くの関心ごとは自分たちのビジネスが、今回の経験でどのように変わるかということです。たとえば本社はいらなくなるとか、住まいは郊外でもよくなるとか、営業の仕方が変わるとか、そうした現象の変化を追いかけて、ビジネスの未来像を描こうとしています。これはもちろん大変重要なことです。我々はこうした社会の変化に、対応していかなければなりません。ただ問題はこの現象が時間とともに、刻々と変化していくということです。

一方で暮らしに目を向けて見ると、人々の意識にどんな変化が生まれてきたのでしょうか。

家にいる時間が長くなり、人と会わなくても生活していけることを強制的に学んだことで、このままでも過ごせるということを、なんとなく楽観的に受け止め始めているようにも思えます。しかし、何かが今までとは違っているのです。その何かはよくわかりません。偶然の出会いとか、創造的な発想とか、または五感に訴えるようなものとか、もしかすると第六感と呼ばれる、直感ともいえる、人間に備わっていた身体的な感覚が、失われつつあるのかもしれません。健康への意識も高くなりました。家でつくる食事のメニューにも、気を使うようになったでしょう。メディテーションやヨガをする人、新しい自分の趣味を見つける人も、増えていることは間違いなさそうです。街の飲食店などは人が少なくなりましたが、スーパーやホームセンターなどは人がいっぱいです。人が集まるイベントなどはなくなり、非日常から日常への興味が高くなっているのです。この日常への興味というのは、小さなことに目を向け始めていると考えてもいいでしょう。ちょっとしたことへの解像度が、上がっているともいえるのです。この「ちょっとした」という感覚がとても大事です。たとえば、ちょっとした会話、挨拶、買い物、家事、食事、空間、庭やベランダの手入れなど、普段見過ごしていたちょっとしたことに、人々の認識の解像度が上がってきています。人との関係もそうです。仕事で出会う人より同じマンションで出会う人、家の近くの公園で出会う人との、そこでのちょっとした会話、ちょっとした空間、特別な何かというよりちょっとしたことが、とても重要になってくるのです。日常の中にある、ちょっとしたことなのです。

我々はどうしても大きな構想でビジネスを作ろうとします。社会の現象の大きな変化を追いかけて、ビジネスを適応させようと考えるものです。しかしその裏側で起きている人々の意識の変化を見たときに、より生活の視点で、「ちょっと」の何かを、もっと考えてみるのもよいかもしれません。その「ちょっと」に未来を考える大きなヒントが、あるように思うのです。

あなたにとっての「ちょっと」を是非考えてみてはどうでしょうか。

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