老朽建物の密集地を一新
「デュオヴェール博多駅」
【フージャースの建築めぐり】用地仕入れ担当の裏話編
新築マンションの完成までには、事業用地の仕入れ→商品の企画決め→設計→建築→入居→管理運営と長い時間と多くの人がかかわります。
「フージャースの建築めぐり」では、担当者の裏話としてそれぞれの担当者のこだわりを紹介しています。
今回は、「用地仕入れ担当の裏話編」と題して、分譲マンション用地を仕入れるにあたり、乗り越えた数々の苦労やこだわった点など、広告やパンフレットでは知ることができない裏話に迫ります。
今回の紹介物件の「デュオヴェール博多駅(福岡市博多区)」は、博多駅から徒歩5分の好立地に建つマンションです。開発以前は、老朽建物が並ぶ木密地域(木造住宅密集地域)で、火災や地震など災害時の危険性が懸念される地域でした。
今回はこの土地を取得した背景と、街の課題解決に向き合う中で、どのような問題や苦労があったか担当者が語ります。
担当者の紹介
企画部 柳田 匠汰(やなぎた しょうた)
この土地を事業化するためにはさまざまな課題がありました。それらを乗り越えられたのは、地権者の皆様のご協力はもちろん、フージャースならではの不動産に関する専門性とスピード感があって実現したものです。
博多駅5分でありながら、再開発が手つかずの土地
近年、博多駅周辺の開発は大変活況で、まとまった土地は主にオフィスやホテルの開発が行われてきました。そのため博多駅徒歩5分以内に新築分譲マンションが建つのは17年ぶりのことでした。
今回の土地面積は約240坪。その内約200坪には昭和初期から建つ老朽化した木造長屋があり、残り40坪に道路を隔てて戸建住宅が建っていました。博多駅徒歩5分の希少な土地ながら、2つに分断された土地であることに加え、次の2点が、この土地に老朽建物が残り、再建築が進まない理由でありました。
1.再建築不可の土地
建築基準法により、建物を建てる際には建築基準法上の道路に2m以上接道していなければなりません。しかし、長屋に接していた通りは基準法上の道路に該当せず、長屋を取り壊して再建築することはできない状況でした。居住者も高齢の方が多く、地権者をまとめて土地を売ろうと考える居住者はいませんでした。建物も老朽化が進んで災害が起こりやすく、行政にとっても危険性の懸念を抱える地域となっていたのです。
2.再建築を行うには課題が山積み
再建築のためには、建築基準法上の道路に面する範囲まで一帯の開発が必要となります。同意が必要な地権者の数も増え、ふたつ敷地を挟む道路の移動も考えなければなりません。これらを個人で行うことは困難なことで、腰を据えて検討するデベロッパーもこれまでいませんでした。
200人との交渉と度重なる議論
手間も時間もかかる課題の多い土地でしたが、我々は課題を一つ一つクリアして、老朽建物が残る低利用の土地を一新させることができました。実現に向けてのポイントは大きく2つあります。
1.スピード感のある判断と協力会社との連携
事業用地の仕入れで一番苦労するのが地権者との交渉です。今回は1組との交渉が必要でしたが、権利関係をたどると合計200人ほどの方に同時期に同意をもらわなければなりませんでした。それぞれにいろいろな所有の形や想いがあり、交渉はとても困難でした。
この案件の事業化にむけて協業頂いた協力会社と協力をしながら、難しい案件をいかに形にしていくかを考え、共に事業として成立する形を目指しました。この事業を成し遂げられたのは、協力会社と何度も協議を続けたことと、フージャースが汗をかくことを厭わない会社だからこそ成立した事業でした。
交渉が困難を極める中、事業が大きく躍進した出来事がありました。それまで頑なに売却に反対していた1人の所有者様が、ある時売却に賛成してくれたのです。地権者向けの説明会を何度も開催し、徐々に周りの地権者の賛同を得られた結果でした。その甲斐あって、200人の同意を一度に得られ、全ての課題を解決することができました。
最初の検討から土地の取得決済まで約1年半かかった事業でしたが、これほど多くの地権者また課題の多さを、スピード感を持って取り組めた事業でした。
2.ゴールの見えない道路の付け替え交渉
先述したように今回の土地は、福岡市が管理する道路で分断されていて、ひとつの土地にするには道路を移動する必要がありました。道路の付け替えは福岡市でも十数年ぶりの事業だったため、市も明確な対応方法が分からず、福岡市や博多区などとの協議を数十回重ねました。
協議を重ね、何度も設計を考えなおす際に考慮したのは、マンションだけでなく街のためにもなる道路の付け替え案にすることです。元の道路は、入り口部分に急な勾配があるなどの問題点があり、それを解消する案にしたことで、関係者全員の許可を得られました。
老朽建物が残る土地を一新
今回の事業用地の仕入れは、スピード感や手間を惜しまないなど、フージャースらしい仕入れだったと感じます。交渉は難航しましたが、最終的には地権者のみなさんに納得していただいて資産形成のサポートができ、多くの方に喜んで貰え、そこに新たなマンション作りができました。
今回のように老朽化した建物が建ち長期間手つかずの土地でも、知恵と努力で劇的に変化させることができます。そのままでは災害の危険性もある土地を一新させることこそ、我々デベロッパーの存在意義だと考えています。今後も地元に根付いて活動をしていくとともに、街の課題解決となる魅力ある開発を進めていきたいと思います。
デュオヴェール博多駅
※こちらの物件は完売しました
所在地:福岡県福岡市博多区博多駅東一丁目
交通:JR「博多」駅 徒歩5分、福岡市営地下鉄空港線「博多」駅 徒歩7分
総戸数:80戸
階数:13階建て
竣工:2023年6月