都市と森の狭間で暮らすマンション
「デュオヒルズ比治山レジデンス」

【フージャースの建築めぐり】建築担当の裏話編

「フージャースの建築めぐり」シリーズの「建築担当の裏話編」では、作り手のこだわりや苦労した点など、広告やパンフレットでは知ることができない裏話に迫ります。フージャースのモノづくりに対するこだわりの姿勢を、感じていただけるかと思います。

広島の中心地の東には「比治山」という山があります。Duo Hills(デュオヒルズ)比治山レジデンスは、その比治山の麓に建つファミリーマンションです。都心に近い場所でありながら、自然も間近にあるこの立地を活かしたモノづくりを心掛けました。そのこだわりを担当者が語ります。

建築担当の紹介
中庭 裕次郎 (なかにわ ゆうじろう)

本プロジェクトのポイントは、山に囲まれたような立地をどう活かすかでした。「比治山と暮らす」というコンセプトのもと、都市と森との狭間だからこそできる暮らしの提供を目指しました。その想いから生まれたのが「比治山テラス」という共有部です。



広島の守り神に包まれた、一段上の暮らし

デュオヒルズ比治山レジデンスが建つ段原という地域は、広島の住宅地の中でも人気のあるエリアの一つです。この段原は比治山という山の東側に位置しています。かつて広島に原爆が投下された際、比治山が爆風を遮ってくれたおかげで、段原は最小限の被害で済みました。そのことから、比治山は守り神的な存在として広島の人々に知られています。
そんな山の麓にありながら、段原は今では広島の中心地に近く利便性があり、広島市現代美術館など文化・芸術にも触れられる環境の良さも兼ね備えた地域になりました。
本物件は比治山の窪んだところにあり、山に包まれているような場所です。都市の良さも自然の良さも両方味わえるこの空間を活かした、他では味わえない暮らしができる住まいを作りたいと思いました。その思いと共に、段原の地名にもかけて「一段上の上質ライフ」をテーマに掲げ、モノづくりを始めました。

 

わざわざ行きたくなる共用部

本プロジェクトで一番こだわったのが、「ブックラウンジ」と「森のテラス」という2つの空間から成る共有部「比治山テラス」です。
先述したように、今回の立地は利便性の高い場所でありながら、比治山の豊かな緑がすぐ側にある場所です。どういう建物にするかを考えるにあたり、まずはここに住む人にどういう暮らしをして欲しいかを考えました。普段は都会の喧騒の中で過ごしていても、家に帰ればコーヒーを片手にゆっくり読書をしたり、小鳥のさえずりに耳を澄ませたり、時間を忘れさせてくれるような空間のある生活。見上げればすぐそこに比治山の緑があり、澄んだ空が見える、そんなリゾート地に来たような心安らぐひと時を過ごせる場所。都市の喧騒と静寂の森の狭間で、他では経験できない別世界の暮らしをイメージしました。
比治山テラスはマンションの2階にあり、エントランスからすぐに行ける場所ではありません。ついでに立ち寄るというよりも、わざわざ来てもらわなければならないところにありますが、それでも来て欲しい空間、何かしら意図を持って来てもらう空間、という位置付けをしました。

 

好きな場所で好きな過ごし方を

比治山テラスの建物内の部分がブックラウンジです。ブックラウンジは大きく3つの空間に分けることができます。
まず窓際には、外に向いたテーブルを設置しました。自然を感じながら自分の時間を過ごせるこの場所は、ワークスペースとしての使用も想定しています。
中央のテーブルは、真横に並ぶこともなく、対面に座っても目線が合い過ぎない六角形にしました。六角形は自然界で最も安定した形であり、動と静といった相反するエネルギーの調和という意味を持つ形です。このテーブルに限らず、共有部の随所に六角形のデザインを取り入れています。このスペースではコーヒーを飲んだり、読書をしたり、ゆっくりとした非日常的な時間を過ごして欲しいと思っています。
本棚の下にはベンチを配置し、親子で絵本を読むようなシーンをイメージしました。本は親子で楽しめるような絵本はもちろん、インテリアや歴史に関する本など、全部で200冊くらい置いてあります。今後は住民の方の声を聞いて本を足していけるように、本棚のコーディネーターに本のリクエストができる仕組みを準備しました。

この空間を楽しむためのアイテムとして、コーヒーマシンを設置しています。ここではせっかくなら美味しいコーヒーを飲んでいただきたいと思い、自動販売機はあえて本棚の裏に設置しました。
1人でも、親子でも、家族でも、誰もが訪れやすく、さまざまなシチュエーションで利用できる共有部です。住人の皆さんにとって、居心地が良く、安らげる空間になって欲しいと思っています。

 

自然と共に暮らす森のテラス

ブックラウンジから外に出たところにあるのが、森のテラスです。ここにも六角形のテーブルと椅子を設置し、少し下がったところにはまた六角形になったベンチを作りました。今日はここ、明日はここと、それぞれがその時々の居場所を見つけて過ごせるような空間作りを心掛けました。
親はラウンジでゆったりしながら、テラスで遊ぶ子どもを見守る、という過ごし方もしてもらいたいと思っています。

テラスのすぐ側には比治山の斜面があります。実は敷地の一部は土砂災害警戒区域に指定されていて、建物を建てる際には擁壁を築く必要がありました。広島では数年前に大規模な土砂災害が発生して被害が出たことから、今回の立地とは場所も条件も全く異なるものの、土砂災害を懸念される方は多くいらっしゃいます。
当然そのリスクに対する工事や説明をきっちりしたうえで、この斜面と接する場所を無くしてしまうのではなく、そこには悪い面だけでなく素敵な自然があること、山があるからこそできる豊かな暮らしがあることを、感じていただき、受け入れてもらいたいと思いました。この斜面に面するテラスでは、風を感じ、山からの鳥の声を聞き、春には桜を愛でることもできます。不安だからと離れるのではなく、こうしたプラスの面も享受しながら、比治山のある暮らしを楽しんでもらいたいと思っています。

 

自然と馴染む外観

外観や内装も「自然」を意識したモノづくりをしています。
建物を正面から見ると比治山が背後に見え、特に低層階は山に囲まれているように見えます。山の緑と重なる7階までは、バルコニーに4色の縦格子をランダムに配置することで連続する木々を表現しました。
外壁のタイルも木の幹をイメージしています。自然の木が一つとして同じものがないように、タイルにグラデーションをかけ、一枚一枚異なる表情を持たせました。それにより、見る時間や角度、天候によって建物の見え方が変化し、まるで自然の移ろいを見ているような外観にすることができます。

エントランスは外を見られない造りにせざるを得なかったのですが、自然素材を使い、画一的ではない空間にするなど、自然を感じられる工夫をしています。大きな杉の一枚板とグリーンを組み合わせたオブジェを配置しました。それぞれ専門家に依頼して組み合わせたオリジナルのオブジェです。

エレベーターホールには、葉っぱが緑から赤や黄色に変化する様子を表したオブジェを置いて、比治山の季節を表現しています。

 

都市と森の暮らしを楽しむ人が集まるマンション

今回は、都市に近いながらも森に囲まれているという非常に特徴的な立地でしたが、その特性を活かしたモノづくりができたと思います。実際にここに住むことを決めた方は、山が近いことを懸念するのではなく、都市と森の狭間の暮らしをしたいと思ってくださり、広島ではそう多くない作り込まれた共有部を評価し、コンセプトに共感してくださった方がとても多かったです。
広島には数多くの分譲マンションが供給される中、「比治山と暮らす」というコンセプトに共感いただいた方が多く、予定よりも早く完売することが出来ました。このことからも、土地の特性を活かしたモノづくりが受け入れられたことが伺えます。そして私たちの想いがお客様に伝わり、そんな暮らしをしてみたいと思っていただけた方に住んでいただけることを嬉しく思います。

 

デュオヒルズ比治山レジデンス
※こちらの物件は完売しました

所在地:広島市南区段原二丁目
交通:​​広島電鉄皆実線 「段原一丁目」電停 徒歩7分、JR線「広島」駅より広島バス利用4分、「段原中央」バス停下車徒歩5分
総戸数:110戸
階数:20階建て
竣工:2023年5月

※フージャースの、暮らしづくりでは、「デュオヒルズ比治山レジデンス」に暮らす人のストーリーを紹介しています。詳しくは、こちら。

https://www.hoosiers.co.jp/kurashizukuri/project/27/