女性のためのモノづくりと歴史ある街の融合
「デュオヴェール川越」

【フージャースの建築めぐり】建築担当の裏話編

「フージャースの建築めぐり」シリーズの「建築担当の裏話編」では、作り手の思いや苦労した点など、広告やパンフレットでは知ることができないエピソードを紹介します。
フージャースのモノづくりに対するこだわりを感じていただけるかと思います。

 

歴史ある川越の街に

川越駅から徒歩6分のところに建つコンパクトマンション「デュオヴェール川越」。デュオヴェールならではの女性に向けたモノづくりに、歴史ある川越の街の和の要素を取り入れました。そのポイントを、物件担当者が語ります。

建築担当の紹介
フージャースコーポレーション
建築本部 山下 愛子(やました あいこ)

デザインで悩んだのが、デュオヴェールらしさと和の要素のバランスです。和を意識しながら、素材や小物で柔らかさを取り入れました。



小江戸川越に寄り添う住まいづくり

denkei / PIXTA(ピクスタ)

川越駅周辺は複合商業施設が集まり、小江戸と呼ばれる歴史ある街並みは人気の観光地のひとつ。本物件は川越駅から徒歩6分と近いところにありますが、大通りから1本入った閑静な住宅エリアに位置します。賑わいのある商業エリアが徒歩圏内という利便性も享受できる静かな場所です。
歴史ある街の雰囲気を取り入れるべく、「デュオヴェールならではの女性に向けたものづくり×モダンの中に和の要素を取り入れたデザイン」をテーマにしました。計画当時、川越市市制施工100年を迎えていた市のコンセプトである「時をつなぐ。時と人をつなぐ街」にも寄り添うような、愛されるデザインを目指しています。

 

和モダンなデザインと豊富な緑

本物件はコの字型の3棟構成となっており、全78戸というデュオヴェールの中でも規模が大きい物件でした。その規模感でどのようなデザインにするかを考えて目を付けたのが、川越唐桟(とうざん)という川越の伝統的な織物です。その縦縞のデザインを建物にも取り入れようと、サッシ周りに縦のラインを入れたり、マリオンを上から下まで通したり、縦に伸びゆくデザインを各所に施しました。
デュオヴェールらしい柔らかさと、和を感じるタイルの選定にもこだわっています。波打っているような素材を選ぶことで、外観からも和の雰囲気を感じられるようにしました。和の要素が強くなりすぎないように気をつけ、透け感のある乳半の手すりガラスでモダンな雰囲気も演出しています。

通常は黒でしめることが多いエントランスの庇の上裏も、柔らかさと和の雰囲気を出すために温かみのある木目にしました。
エントランスまでの引きは大きくありませんが、いろは紅葉をアクセントに、両脇にたっぷりと緑を配して、木漏れ日の中をすり抜けていくようなアプローチを作りました。

※マリオン:建物の開口部に設ける垂直な部材

エントランスだけでなく、コの字型の建物に沿って緑をたくさん植えています。この土地を初めて見に行った時、周りの道幅が狭く、道の端に張り付くように車を避ける近くの小学校の子どもたちの姿を目にしました。その状況を改善したいと思い、道路から十分な距離を取って建物を建て、その間に緑を植えています。特に西側はガーデンウォークという名をつけて、道を広く取りました。緑をたくさん取り入れることで、街の風景に潤いを与えることも意識しています。

 

1階でも安心な住まいへ

規模が大きいゆえに全体の2割程度が1階住戸となったため、セキュリティ対策はいつも以上にしっかり考えました。

全戸にトリプルセキュリティを採用したのが大きな特徴です。一般的にエントランスが1次、エレベーターが2次、各住戸の玄関が3次セキュリティとなるため、1階の住戸だけはダブルセキュリティとなってしまうことがよくあります。今回は2次セキュリティラインを1階のラウンジに設けることで、1階の住戸もトリプルセキュリティとなるようにしました。
また、手ぶらでロックが解除できるハンズフリーキーの「テブラキー」を採用しているので、エントランスとラウンジを通る際は鍵を取り出すことなく楽に通過できます。

また、当初の計画では1階の住戸の前を通ってエレベーターホールへ行く作りになっていましたが、エレベーターを2方向開くデュアルエレベーターにすることで、1階の住戸の前を通らずに上の階へいける動線に変更しています。1階に住む方のプライバシーが保たれるのに加え、エレベーターの正面に中庭がある形となったため、エレベーターに乗るときも降りる時も必ず緑が目に入る環境を作ることができました。

外部の方も通れる西側のガーデンウォークに面した部屋は、さらにセキュリティを高める工夫をしました。道から3メートルの距離を取り、道と部屋の間となるバルコニー前には植栽をふんだんに植えています。

また1階住戸には約1800mmのルーバーをバルコニーの手すり前に設置して登ることができないようにしたり、窓に格子を付けたり、防犯センサーを設置したりしました。いずれもセキュリティに配慮しながら、デザイン性も保たれるようにしています。

 

ひとり女性の“気持ち”を形に

左: 1LDK+WIC+SIC Mタイプ 33.66㎡
中央: 2LDK+WIC+SIC Lタイプ 44.18㎡
右: 2LDK+WIC+SIC C1タイプ 43.05㎡

部屋の間取りは1LDK2LDKの住戸がほぼ同数あります。住む人の生活スタイルに合わせた住まいを選べるよう、できるだけ同じプランを作らないように工夫しました。例えば2LDKの部屋では、2つの洋室が繋がっているプラン(Lタイプ)と、洋室の1つが廊下側に面しているプラン(C1タイプ)を用意しています。

他にも間取りの選択肢として、メニュープランに「欲しかった暮らしラボ」から生まれたプランを初めて取り入れました。それが「土間クロゼットのある部屋」「バックヤードのある部屋」「自然光の入る明るく暖かい寝室」の3つのプランです。これらは、ひとり暮らしをする女性の「リアルでニッチなこだわり」に目を向けて弊社で開発した「ひとり女性のこだわりカード」(詳細は「ひとり女性のこだわり2021年5月21日に掲載)を元に、カードを使用した座談会を実施し分かった「気持ち」に注目し、その後もアンケートや座談会を重ねて形にしたプランです。
プランについて詳しくは、「ひとり女性の気持ちから考えた、コンパクトマンション向けプラン」(2024419日掲載)で掲載しています。

今回このプランの紹介をきっかけにフージャースの取り組みを知っていただけたり、「こんな暮らしがしたい」「こういうのがあったら良いな」といった暮らしに対する前向きな会話がお客様との間に生まれたりしたのも良かったと感じました。これまで女性向けのコンパクトマンションを手掛けてきたフージャースの集大成的なプランでもあるので、今後も展開していきたいです。

 

デュオヴェール川越
https://www.hoo-sumai.com/duoveel/kawagoe/

所在地:埼玉県川越市仙波町
交通:JR川越線・埼京線・東武東上線「川越」駅徒歩6
総戸数:78
階数:6階建て
竣工:202411