長崎の未来の象徴となる住まいを目指して
「デュオヒルズ長崎宝町」
【フージャースの建築めぐり】建築担当の裏話編
「フージャースの建築めぐり」シリーズの「建築担当の裏話編」では、作り手のこだわりや苦労した点など、広告やパンフレットでは知ることができない裏話に迫ります。フージャースのモノづくりに対するこだわりの姿勢を、感じていただけるかと思います。
未来を象徴するソトと、工夫を凝らしたナカ
いま再開発が進んでいる長崎駅周辺。「デュオヒルズ長崎宝町」は、新しく生まれ変わる街の様子を間近で見られます。長崎の未来の象徴となるような住まいを目指してモノづくりをスタートさせました。外観や共用部はもちろん、居室内にも細かい工夫を凝らし、コンパクトながら狭さを感じさせない空間に仕上げています。モノづくりのポイントを建築担当者が語ります。
建築担当の紹介
フージャースコーポレーション
建築部 山下 愛子(やました あいこ)
変わりゆく長崎の街を楽しんでいただけるような住まいにしたいと思い、「Fun up!」をコンセプトにデザインやプランを考えました。
これまでの形に捉われず、手間を惜しまないことで、新しいコンパクトマンションの形も見出せたと思っています。
長崎の未来を楽しみつくす住まい
「デュオヒルズ長崎宝町」は、長崎市内を走る路面電車の「宝町」から徒歩3分に位置する、39戸のマンションです。徒歩圏内にあるJR長崎駅周辺は、今まさに新しい街づくりが行われているところ。長崎市と福岡市間では九州新幹線西九州ルートが2022年9月に開通、JR長崎駅ビルも2023年11月に開業し全86店舗が入った新商業施設がオープンするなど、駅周辺の土地も整備が進められています。今回の物件のすぐ側では2024年開業予定の「長崎スタジアムシティプロジェクト」が進行中で、サッカースタジアムを中心に、アリーナや商業施設、オフィスやホテルなどが併設される予定です。今回の土地は、これらの再開発の施設だけではなく、徒歩圏内に暮らしに役立つショピング施設や公共施設などが揃う利便性の高い場所でもあります。
想定したお客様は、変わりゆく街の未来に期待を持たれるようなご夫婦です。「Fun up!〜長崎の未来の最前席を楽しみつくす住まい」をコンセプトに、都市の活気と長崎の美しい自然の景色を感じられる住まいを目指しました。
デザインのキーワードは長崎の「光」
デザインは、「長崎の未来の象徴となる住まい」を起点に考えました。長崎といえば、世界三大夜景にも認定されている長崎市の夜景や、ハウステンボスの「光の王国」、長崎ランタンフェスティバルなどが思い浮かびます。日本一島が多い県であり、その周りを囲む海の透明感も印象的です。これらから連想される「光」をデザインのキーワードにしました。
もう一つ、デザインで大事にしたのは清潔感です。便利な立地ではありますが、マンションに隣接する長崎スタジアムシティプロジェクトの一帯は元々工場があった場所。長崎の方にとって、マンションが建つ宝町は工業地帯の隣接地というイメージがあったため、そのイメージを払拭するようなデザインにしたいと考えました。
外観でこだわったのは、廊下側のデザインです。マンションの廊下側は建物の裏側になることが多いのですが、今回は廊下側が大通りに面しているため、ここのデザインが建物のイメージを左右します。廊下側によく使われる縦格子や躯体の手すりではなく、清潔感と明るさを感じられるガラス手すりを採用しました。
また、マリオン※1の長さや太さにもこだわっています。なるべく細くした白いマリオンを上に突き抜ける形にして、未来に伸びていく様子を表しました。
ほかにもガラス手すりの色の配置やスラブ※2ラインの小段のデザインや色など、細かいデザインの工夫を各所に施しています。その結果、長崎の街で際立つ先進的なデザインになったと思っています。
※2スラブ:マンションの床を支える板状のコンクリート
外観と呼応する中のデザイン
建物内でも光をテーマにデザインをしています。共有部でこだわったのは、風除室を抜けてラウンジに入ったときに目に入る壁です。曲線と砂形状の素材を組み合わせ、上下に光を入れることで、美しい長崎の海と波の揺らぎを表現しました。広いとはいえない空間のため、平らな壁に光や水を感じさせるアートを取り付けるという案もありましたが、限られた空間でも印象をつけたい、外観に合わせて縦に伸びるデザインにしたいという想いから、こだわって作った部分です。
どのような凸凹を作り、どのように光を入れたら良いのか考え抜きました。何度も完成予想図を書き直してもらったり、現場でも段ボールで模型を作って一番キレイに見える光の角度を探ったり、試行錯誤を繰り返してベストな壁を作り上げました。
この壁を過ぎると中庭があります。緑を多く使って魅せるのが一般的ですが、今回は長崎の光や美しい海を想起させる空間にしたいと思い、あえて緑を入れない選択をしました。緑をシンボルツリー1本に絞り、その周りに艶感のあるタイルを敷くことで光を反射させています。夜は水面を想像させるような丸い光がタイルに映し出されます。タイルの間の植栽も水をイメージさせるよう水辺に生える植物を植えています。
工夫を重ねて生まれた広さ
居室は3LDKながら63㎡とコンパクト。狭さを感じさせない間取りを考え、広く魅せる仕掛けを様々に施しました。特にこだわったのでは、「平面ではなく立体で広く魅せる」工夫です。
中でもこだわったのはキッチンの天井の高さです。水回りの天井は配管を通す都合でどうしても低くなる範囲が出てきてしまいます。リビングに入った瞬間の広がり感を演出するためにキッチンの天井をいかに高くできるかを考え、プランを組む中で配管の位置を検討しました。併せて前壁のないレンジフードを標準で採用することで、より広く感じられるようにしています。
また、リビングと洋室の間に設けたフレキシブルドアにもこだわりました。フレキシブルドアを付けるとき、ファミリー向けマンションであれば垂れ壁(天井から垂れ下がった壁)を作り、コンパクトなマンションであれば袖壁(壁から張り出した壁)を作ることを許容するというのがこれまでの定番でした。私はそのどちらの壁も無くしたいと思い、どうしたらそれができるのか、ミリ単位でプランを考えました。その結果、どちらの壁もなくすことができ、ドアを開ければリビングと洋室が一体の空間となって、広々と感じられるようになりました。
もう一つ従来のプランに捉われず考えたのが、カーテンレールを天井に埋め込む形にしたことです。圧迫感を与えるカーテンボックスを無くしたかったので、エアコンの位置を従来とは違う位置に取り付けました。エアコンは窓の上部に付けるのが一般的ですが、それだとカーテンボックスの邪魔になってしまいます。前々からリビングに入って正面にエアコンが見えるのが気になっていたこともあって、部屋の側面の壁にエアコンを取り付けました。カーテンボックスがないことで開放感が出たと同時に、天井からカーテンがとりついていることで高級感を出すことができています。
その他の工夫としてもバルコニー側の壁を極力無くし連想サッシを採用したり、上階は透明のガラス手すりにしたり、開放感を生み出す工夫をしています。長崎駅や女神大橋、新しくできるスタジアムシティや、長崎のランドマーク的存在である稲佐山といった眺望を日常で楽しめるようにしました。
コンパクトな間取りの可能性
居室の面積は数字で見ると決して広くはありませんが、細かい工夫をぎゅっと詰め込んだことで、数字以上の広さを感じられる空間ができたと思います。お客様からも「立地は良くても狭いという印象があったけれど、モノづくりの説明や細かい工夫を知ったら納得して買うことができた」という声をいただいています。
今回の間取りは結果として断熱性などの効率もよく、フージャースとして初めて「低炭素住宅」という等級を取得しました。低炭素住宅は環境にやさしく、快適な生活が送れることはもちろん、住宅ローンの控除や補助金の額が増えるため、金銭面でもお客様にメリットをもたらせます。
近年こうしたコンパクトなマンションが増えているので、この間取りで工夫した点を別の物件にも活かしていこうという話も出ています。物件の条件によってできることとできないことはもちろんありますが、工夫の一つ一つを取り入れていくことはできますし、実際に取り入れている物件もすでにあります。
これからも手間を惜しまず、工夫を重ね、より欲しかった暮らしを実現できる住まいを増やしていきたいと思います。
デュオヒルズ長崎宝町
※こちらの物件は完売しました
所在地:長崎県長崎市宝町4-25
交通: 長崎電気軌道「宝町」電停 徒歩3分、JR長崎本線「長崎」駅 徒歩10分
総戸数:39戸
階数:14階建て
竣工:2023年11月