【結果】トイレ空間の可能性に関するアンケート
私達の暮らしになくてはならないトイレ。洋式の水洗トイレが一般家庭に普及し始めたのは、昭和30年代のことです。近年ではトイレの進化の歩みは一層速くなり、「温水洗浄便座」の他「自動脱臭機能」や、「抗菌機能」「人を感知すると自動でフタが開く機能」「トイレの自動洗浄機能」など、衛生的な機能も次々と開発され進化してきました。
一方、コロナ禍の家で過ごす時間が増えた時には、一人になりたくてトイレに篭るという事も耳にしました。また、トイレという小さな空間が落ち着くという人や、マンガを読んだり、スマホを見たりと、用を足す以外の使い方をする人も多いと思います。
そんな昨今ですが、もしトイレ空間が様々な目的で多重利用(他の用途でも利用)できる空間になれば、暮らしはどう変わるのでしょうか。
フージャースでは、トイレの価値やトイレに求めることなど、トイレ空間について、住宅設備メーカーと共同研究をすることになりました。
限られた住空間の中でトイレに求めることは何か。トイレという専用空間は、用を足す以外にどんな使い方ができるのか。トイレ空間を利用して何ができるのかという観点から多重利用の可能性を探る目的で、トイレに対する価値観や現状を探るアンケートを実施しました。結果144件の方に回答いただきました。
はじめに、現状のトイレに満足しているかという設問では、「満足している」73.6%、「不満がある」26.3%でした。主な不満の内容は、狭い・ペーパーホルダーと体の位置など「広さに関して」、タンクがあるので掃除がしづらい・汚れが気になるなど「掃除に関して」が多かったです。
トイレ空間のおける抵抗感を聞いたところ、半数以上の方に抵抗感がある行動、抵抗感がない行動が見えてきました。それぞれ50%を超える項目を紹介します。
■抵抗がある
①仮眠をとる 84.7%、②自分の用を足した臭いが残る 79.9%、③歯磨きをする 75.0%、④用を足している音が外に漏れる 72.9%、⑤用を足した後手を洗わない 70.1%
■抵抗がない
①スマホやタブレットを持ち込む 63.9%、②トイレ専用のスリッパがない 53.3%、③自分がトイレに入っていることが周囲から分かる 50.0%
という結果でした。
用を足しながらトイレで他のことを「する」人は66.7%と半数を超えており、「しない」人は33.3%でした。3人に1人は、トイレで用を足しながら何か他のことをしているという結果です。
用を足しながら他のことをする主な内容は、「メールやSNSをチェックする」65.6%と最も多く、次いで「WEBをブラウジングする」43.8%、「考え事をする」28.1%、「本・漫画・新聞・雑誌などを読む」26.0%、「ゲームをする」22.9%でした。
それを行う理由を聞いたところ、どの選択肢を選んだ人も理由は共通しており、特殊な内容を除き大きく下記の6つに分類されます。
・時間を有効活用したいから(26.9%)
・用を足すのに時間がかかるため手持ちぶさたの解消(25.4%)
・一人になれるから(19.4%)
・直前まで行っていた作業をトイレでも継続するため(13.4%)
・ついでに掃除や片づけなど何か決まったことをする(10.4%)
・落ち着ける空間だから(4.5%)
一方、用を足す以外の目的でトイレを利用「する」人は27.1%、「しない」人は72.9%でした。
用を足す以外の目的でトイレを利用する主な内容は、「気持ちを落ち着かせる」30.8%、「メールやSNSをチェックする」25.6%、「WEBをブラウジングする」15.4%でした。
そして、そのことを行う理由を聞いたところ、一人になれる特殊な空間だから55.5%ということでした。
子どもが小学3年生以下のファミリーに絞ると、用を足す以外の目的でトイレを利用「する」人は42.1%に増えます。理由からも分かる様に、子育て中のファミリーには、一人になる空間・時間が必要だということがよくわかります。
今回の回答者では、トイレという目的が明確な空間に、ゆとりや変化を求めている人は2割ほどでしたが、同様のアンケートを年齢層の若い世代に聞くと、また結果も違ってくるかもしれません。
リフォームなどでトイレを充実させた実例も、SNSでは多く見かけるようになってきました。どのような方が、何を望まれているのか、皆さんからのご意見を参考に、引き続き快適なトイレ空間を検討していきたいと思います。