居心地よく暮らすためのコミュニティ

【連載】コミュニティについて vol.02

photo: 川原涼太郎

前回から、読者の皆様と一緒にコミュニティを考える連載を書いています。前回は「安心して暮らすためのコミュニティ」というテーマで地域の助け合いや、活動、そして2つの事例を紹介しました。今回は、もう少し深くこうした繋がりが、どのように人々の暮らしに「心地よさ」を生み出していくのかを考えてみましょう。

普段から交流がある近隣との関係では、お互いに気を配って困ったことがあった時に、サポートしあえる関係が成立しています。たとえば、突発的な急用で保育園のお迎えに行けなくなって誰かに頼みたい時とか、宅急便を代わりに受け取って欲しいとか、近くに頼める人がいると助かります。深い付き合いでなくても、ちょっとしたことを頼み合える関係があると、暮らしやすさという意味で居心地は格段によくなるでしょう。子どものことでなくても、ものの貸し借りとかも可能でしょう。大工道具やキャンプ用品など、滅多に使わないものを貸し借りするのもいいですし、そうした関係から一緒にキャンプなどに出かけたりすることにも発展するかもしれません。 最近は、マンションでコミュニティイベントやサークル活動なども盛んになってきましたが、力をかけて色々なイベントを計画したりするよりも、こうした身近な助け合いが暮らしやすさや居心地の良さをつくっていくようにも思います。長い時間をかけて育んでいく関係性の中に、お互いの信頼が生まれていくものです。

事例1: 株式会社AsMama
近隣での助け合いを、お母さん同士のネットワークでつくる仕組み

AsMamaのHPには忙しいお母さんたちがうれしいサービスがたくさん紹介されています。
出典:株式会社AsMama HPより

AsMamaについては、取材記事を近々掲載予定のため、ここでは簡単に触れたいと思います。これはアプリを使って子どもを預かって欲しいとか、ちょっとしたことを頼む相手を見つけたり、モノの貸し借りをしたり、交換したり譲ったりできるマッチングサイトです。デベロッパーや、地域の活性化をサポートする企業から応援をしてもらいながら、利用者は無料で使える仕組みになっています。みなさんも、ぜひアプリをダウンロードしてみてください。
そして、その地域の中で接着剤となるような、通称「ママサポ」という託児やコミュニケーション研修を受けた認定ママサポーターを全国各地で育成しているのも特徴の1つです(AsMamaはプラットフォーム名、ママサポーターは、ママサポです)。
彼女たちが、積極的に人をつなげたり、困っている人をサポートしたりします。例えば、アプリの会員が、子どもを誰かに預かってほしいと思ったら、ワンコインでお願いすることが出来ます。小さな金額ですが、子どもの預かりや、モノの貸し出し等、地域内での仕事を生み出しています。お金を媒介にすることで、気軽に頼める仕組になっているのです。この仕組みは、単にママさんだけでなく、地域内の助け合いの仕組みを作っていくのにも貢献していくでしょう。
「住みやすい街とはこうした日常の中での、ちいさな助け合いが行われること」とAsMamaの甲田恵子さん(代表取締役社長)も言っていました。イベントやサークル活動があることより、毎日の暮らしの中に近隣での助け合いが生まれることが、何より暮らしやすい街となっていくのでしょう。

AsMama:http://asmama.jp/

事例2: 気まぐれ八百屋だんだん こども食堂

子どもたちの健康を考えたメニューが並ぶ。家では食べられないものも多いと、子どもたちには大好評です。
photo: Miki Chisyaki

以前、「ほしかった暮らしラボ」の取材記事としても取り上げた「こども食堂」。今では全国に広がるこの活動ですが、この活動を最初に始めた近藤さんは、「近くの子ども達、近くの家族の助け合いを広げていきたい」と願ってこの活動を始めました。隣で困っている人がいたら手を差し伸べたい、そんな関係が日本中に広がることを願って始めたのです。その支援も自分たちができる範囲で行うこと。さりげない支え合いから、日常の暮らしを平穏に暮らせるようにしたいのだそうです。
こども食堂のスタートは、小学校の先生から食事もしないで学校に来る子がいるという話を聞いてのことでした。様々な理由から、子どもの食事を用意できない親がいる今の社会の現状に驚いたそうです。週に一度の食事会ですが、子ども達はとても喜んでいます。ここに来る子ども達の間には、ここで生まれるネットワークがあるようです。学校を超えてつながる子ども達が大人になり、今ではその子ども達がボランティアで次の世代の子ども達の面倒を見るようにまでなっています。目の前の困りごとに手を差し伸べる、当たり前のことのようですが、そうした助け合いがどこででも普通に行われる社会こそが住みやすい、暮らしやすい社会と言えるのでしょう。そして、それを実現するためには、誰かが自分の時間を、目の前の困っている誰かのために提供するというボランティアの精神から始まるということも、大事なポイントだと思います。
誰かが、誰かのために行うこと。それが地域の暮らしを円滑にしていく第一歩なのかもしれません。

こども食堂を運営している「気まぐれ八百屋だんだん」:https://www.facebook.com/otadandan

ミニアンケート

AsMamaという名前を聞いたことがありますか

お答えいただくとこれまでの結果が表示されます。

Loading ... Loading ...

こども食堂という名前を聞いたことがありますか

お答えいただくとこれまでの結果が表示されます。

Loading ... Loading ...