まちや人とのつながりを生む「デュオヒルズ東川口テラス」
【フージャースの建築めぐり】建築担当の裏話編
「フージャースの建築めぐり」シリーズの「建築担当の裏話編」では、作り手のこだわりや苦労した点など、広告やパンフレットでは知ることができない裏話に迫ります。フージャースのモノづくりに対するこだわりの姿勢を、感じていただけるかと思います。
桜を愛でる家族の笑顔を思い浮かべて
埼玉県川口市、東川口駅より徒歩8分に位置する「デュオヒルズ東川口テラス」。東側には川が流れ、桜並木が広がっています。春の絶景を楽しめる建物をつくる、というのが今回の設計のテーマでした。桜以外にもこの土地にはさまざまな魅力がありました。
今回、まちや自然と人が無理なく親しめるマンションづくりとは?を担当者が語ります。
建築担当者の紹介
フージャースコーポレーション
建築本部 河合 甫乃香(かわい ほのか)
東川口は、利便性と豊かな自然環境を兼ね備えた場所です。本プロジェクトは子育て世代のファミリー世帯に、その恵まれた環境を存分に生かした暮らしをしてもらいたいと思いました。
デザインのコンセプトは「Join to」。まちや自然、人とのつながりを持てるような住まいづくりを目指しました。つながりを生む場として設けた共有部のラウンジとテラスが、本プロジェクトの大きな特徴です。
中にこもらず、外に出ていきたくなるマンション
東川口駅は、JR武蔵野線と埼玉高速鉄道の2路線が利用できる便利な場所です。浦和や越谷、新三郷など大型の商業施設がある地域へも気軽に行けますが、東川口駅周辺だけでも生活に必要な施設は十分に揃っています。
本プロジェクトから半径500m以内にスーパーや公園、病院などがあり、普段の生活で困ることはないでしょう。そんな便利さがありながら、少し足を伸ばせば川や田んぼ、大きな公園などに行くこともできます。また、この辺りは昔から盆栽などの植栽が盛んで、緑を育て楽しむ文化のある土地だったことも判明しました。
当初設計を考える際に、利便性と豊かな周辺環境、緑をはぐくむ文化があることから、マンションの中だけで暮らしが完結してしまっては勿体無いと考え、積極的に外に出て、人や自然とつながっていけるような住まいが、この土地には合っていると思ったのです。
この想いから生まれたキーワードが「Join to」。季節を楽しむ「Join to Nature」、家族時間を楽しむ「Join to Amuse」、コミュニティを楽しむ「Join to Friend」、の3つのカテゴリーに分けて、ここに住む家族が暮らしを楽しめる仕掛けを考えました。
本プロジェクトを購入されるお客様は、小さいお子さんがいるご家庭やこれから家族が増えていくようなご夫婦と考えていました。大人はもちろん、ここで育つ子どもたちが東川口の人やまちと関わっていくことで新たな発見や成長をし、まちにも住まいにも永く愛着が持てる生活を提供したいという想いを込めています。
お花見ができる縁側
私が一番こだわったと言っても過言でないのが、建物東側のエントランスに設けたブルームテラスとラウンジです。
まずはブルームテラスについて。ここで目指したのは、日本家屋の縁側のような空間です。あえて高級感を出さず、誰もが気軽に思い思いの時を過ごしてもらえる場所にしたいと考え、好きな使い方ができるよう、高さや形状の異なるベンチを並べています。住人のみなさんの憩いの場、団らんの場となればと思っています。
ベンチの周りにはハーブをはじめとする色彩豊かな植栽を配し、四季折々の姿を楽しめるようにしました。
テラスの目の前には桜並木が連なっています。春にはこのベンチに座って最高の景色を眺めることができるはずです。桜が散った後には、テラスのシンボルツリーであるエゴノキの白い花が咲き誇り、また違った風景を見せてくれます。
計画当初、ここは道行く人も立ち入れる場所になるので、敷地内にそういった場所を作るのは管理上どうかという議論がありましたが、ここを閉じた空間にしてしまうのは非常に勿体無い、この立地の良さを潰してしまうことになると強く思い、外に開かれた空間にすることにこだわりました。
外に開かれた空間にしたことで、見送ったこともひとつあります。ブルームテラスにはハーブを植えて、食べられるハーブを摘んでもらい、味や香りを楽しんでいただくのが当初考えていた理想図でした。しかし、入居者以外も立ち入ることができる場所のため、安全性の担保が困難と判断し、テラスのハーブを摘んで食べるということは難しくなりましたが、この場でハーブの香りを楽しんでもらいたいと思っています。
諦めたこともありましたが、完成後改めてブルームテラスのベンチに座ってみると、とても気持ちのいい空間ができたと実感することができました。
内覧会の際にはベンチに座って写真を撮る方がいたり、ベンチの上をハイハイする赤ちゃんがいたり、見たかった光景を見ることができました。誰もが自由に使える場所という雰囲気も伝わったのではないかと思います。
季節を楽しむ「Join to Nature」の実現を目指したブルームテラスは、外に開くことにチャレンジした事でこのマンションに欠かせないコミュニティが育まれる場所になると実感しました。
使い方はあなた次第、交流を生むビッグテーブル
ブルームテラスの先にあるのが、家族や友人、住人同士の交流「Join to Friend」を叶えるラウンジです。
家族での日常使いはもちろん、イベント開催や住人同士の交流の場としたり、友人を招く場として使ったり、使い方は自由です。テラスと同様に、肩肘張らずにみんなが使える場所になればいいなと思っています。
さまざまな用途に使ってもらえるよう、長さが2m以上ある伸縮可能なビッグテーブルを設置しました。このラウンジに人が集い、笑顔でテーブルを囲む姿をイメージして作ったものです。
テラス側にあるガラスのサッシは、開けて使用することも可能で、サッシを開けるとブルームテラスとラウンジが一体となり、広々とした空間使いができます。
ラウンジの設計のこだわりがふたつあります。
ひとつ目は、ラウンジの広がりを、外側に開くというデザインで表現したことです。天井と壁をルーバーにして視線を外に流すラインを作成。床も同じように外へ向かう流れを作りました。ルーバー上の天井は黒に塗り、存在感を消しています。その結果、視線が外に流れ、奥行きを感じることができ、抜け感のある広々とした空間を作ることができました。
ふたつ目は、セキュリティ面です。ラウンジを開放してブルームテラスとつなげてしまうと、外から簡単に出入りできるようになってしまいます。
そこで、セキュリティラインを二か所に設けています。ラウンジとブルームテラスを隔てるサッシが開いている場合は、ラウンジから廊下への扉(上図の赤いライン)がセキュリティになり、閉じている場合は、上図の点線部分がセキュリティラインになります。お子さんがいる家庭も多い中、ラウンジを開放してもセキュリティがきちんと設けられていることは、より安心感を持っていただける要素になったのではないかと思います。
住人を外へ誘う新しい出会い
家族時間を楽しむ「Join to Amuse」として、恵まれた周辺環境を存分に楽しんでほしいと考えて設けたのが、サイクルガレージです。
ここには大人用の電動アシスト自転車2台と、子供用の自転車2台の計4台を用意しました。住人なら誰でもレンタルすることができます。
ガレージ内の壁には、アートの要素も兼ねた広域の周辺地図を設置。普段は駅や近場にしか行かない方でも、地図を目にすることで新たなスポットに関心を持ってくれたらと思っています。
この地図に、実際に行ってみた声やおすすめの場所などを付箋で貼っていく取り組みも進行中です。こんなところがあったんだ、今度ちょっと行ってみようかとまちに興味を持ち、家族で出かけるきっかけが生まれることを期待しています。
このほか、シェアカーも敷地内に設置しています。より遠方への外出や、小さいお子さん連れでのお出かけなど、こちらもぜひ使っていただきたいです。
欲しいをカタチに。自分らしい「Re」の実現
共有部のほかに、居室の中にももちろん居心地の良い空間作りを考えました。
それが、部屋からバルコニーにつながる場所に設けた「Re:Room」(リ・ルーム)です。 Refresh・Relax・Resetなど、さまざまなReをする部屋ということから、その名がついています。
大きな窓で囲われたこの部屋は、室内でありながら半分室外のような中間領域。大きな窓から時に風を感じたり、空を眺めたり。ブルームテラスで目指した縁側のような心落ち着く空間を、居室内でも目指しました。
Re:Roomは、お客様からのアンケートを元にフージャースが商品化したプランです。
コロナ禍を機に、家でみんなで過ごす時間が増えた中で、「家族とはいえ少し距離を取って一人になりたい」「ゆっくりお茶を飲んでリラックスしたい」「子どもを寝かしつけた後、ちょっとリフレッシュしに外に出たいけど、着替えるのは面倒」というような声が多く寄せられるようになりました。
家族といえども、心地よい暮らしをするために人との距離感や一人の時間は重要です。そのニーズに応えられるよう、家の中で一番心地よい場所にちょっとしたプライベート空間を作ることにしました。
販売の際には、このRe:Roomを評価してくださった方が多くいらっしゃいました。販売時がコロナ禍真っ只中だったため、在宅ワークの場として使うというご家庭が多かったようです。
仕事部屋にしたり、趣味の部屋にしたり、それぞれの生活やライフステージにあった自由な使い方をしていただきたいなと思います。
「Re:Room」については、この欲しかった暮らしラボの「Refresh・Relax・Reset できる空間『Re: Room』」(2021年3月19日掲載)の記事でも、詳しく紹介しています。
やったことがない=できない、にはならない
本プロジェクトですが、前例のないモノづくりへの挑戦も多くありました。特にまちに開くという考えでのモノづくりは、私の一番のこだわりでありながらも一番頭を悩ませたところで、正直大変だなと思ったこともありました。
実際に形となった中には、初挑戦のことが多くありましたが、イメージ通りの良い空気感を感じられる建物になりました。諦めずにやって良かったなと感じています。
新たなチャレンジをする建物を作るとなると、多くの制約を伴うことがありますが、「やったことがない」を言い訳にしてはいけないと思っています。これがあったら嬉しいな、こうしたら楽しいだろうなと、建物で長く暮らしていく方の視点で考えることを大切にしていきたいです。
これからもお客さまの欲しい暮らしを考えて、さまざまなモノづくりにチャレンジしていきます。
デュオヒルズ東川口テラス
※こちらの物件は完売しました
所在地:埼玉県川口市東川口二丁目
交通:JR武蔵野線、埼玉高速鉄道「東川口」歩8分
総戸数:79戸
階数:7階建て
竣工:2022年11月