ソロライフの家
一人で戸建を楽しむ暮らし
最近、ソロという言葉をよく耳にします。ソロという言葉は、歌や演奏や演技を一人で行う人を示す時や、ソロクライミングやソロキャンプなど、あえて単独で行われる行動を示すときにも使われます。近頃はソロライフやソロ男、ソロ女など、生き方や暮らし方を表す時にも使われるようになってきました。ソロという言葉の響きには、単に一人という意味だけでなく、自分だけの時間を大切にして、単独で自分の好きなことを楽しむライフスタイルを感じます。
では、日本のソロ化はどれだけ進んでいるのでしょうか。
国勢調査によると、日本人男性の生涯未婚率は2015年時点では男性で約23%、女性で約14%。2005年と2015年の調査を比べると、男性は約7.4ポイント、女性は約6.81ポイント上昇しています。国立社会保障・人口問題研究所等では、2030年には男性の3人に1人、女性の4人に1人が生涯未婚者になるという予測も出ており、独身者の人口はますます増えていくようです。
この背景には、進学率の高まりや法整備により女性の自立が進んでいることや、男女ともに、結婚に対する価値観が変化したことがあります。また、ソロ人口の増加の要因は、未婚者の増加に加えて、結婚しても配偶者や家族と同じ家では生活しない人や、子育てが終わりそれぞれの暮らしを楽しみたいシニアの熟年離婚の増加にもあるようです。
また、ソロ化が進んでいる要因には、少数ではありますが趣味を取り込んだ暮らしの定着もあるように思います。働き方改革により余暇時間が生まれたことや、特に昨今のコロナ禍で自分の時間がさらに増えたことで、自分の趣味を暮らしに取り込んでいる人が増えてきているように思います。こういったライフスタイルの確立が、1人で豊かに暮らすという選択を後押ししているのではないでしょうか。
趣味を楽しむ人のライフスタイルとして、サーフィン好きの人が、鎌倉の一軒家で毎日海を眺めて暮らす。バイク好きの人が、ガレージのある一軒家でバイクのメンテナンスを楽しみながら暮らす。家族同様のペットと一緒に、家の中や庭で日々を楽しみながら暮らす。陶芸のための作業場を求めて古民家でDIYをして暮らすなどの様子が、雑誌やテレビで紹介されているのを見かけます。そのなかには、一人で暮らしている人もいるようです。
趣味を楽しむ人が一軒家を選ぶ理由には、ご近所への音や振動などの心配も少ないことや、庭や玄関先など自分が好きに使える屋外の空間があること、趣味に合わせてDIYや増改築しやすいという点があると思います。そして、一軒家は生活スペースに加えて部屋数や広さにゆとりがあることが大きな理由ではないかと思います。
昨今は、自分の趣味をインターネットで深掘りすることや、同じ趣味の人と繋がりやすくなっていますので、趣味を楽しむ人は今後も増えるでしょう。そして、テレワークが進み住む場所の選択肢も増えていることから、これからは都心部から郊外まで広いエリアで、1人で自分の時間を大切にし、自分の好きな趣味も楽しめる「ソロライフの家」というニーズが増えてくるのではないかと考えました。
住宅業界では、一人暮らしにちょうどよいワンルームや1〜2LDKのマンションやアパートは多く供給されてきましたが、一人暮らしにちょうどよい一軒家についてはほとんどありませんでした。そのため現在、一人で一軒家に住んでいる人は、注文住宅でちょうどいい大きさの家を建てたか、または、部屋数や広さを持て余しながらファミリーサイズの一軒家に住んでいるのではないかと思います。
そこで「ソロライフの家」の間取りは、大好きな趣味と日頃の暮らしを同じ空間で行えるように、リビングやベッドルームに+αのゆとりがある1LDKや、リビングダイニングや寝室などの生活スペースから独立した、趣味専用の部屋がある2LDKの一人暮らしにちょうどよい一軒家をイメージしています。
ソロを楽しむ暮らしは、人と関わることを避ける暮らしではありません。ソロライフの家は、人を招きやすい間取りの工夫や、2人で暮らすことになった時にも対応できるようにしておきたいと思います。他にも、同じソロライフを楽しむ人とシェアハウスとして使える間取りにするとか、コミュニティのある数棟のビレッジにしてはどうかなどと想像が膨らみます。
欲しかった暮らしラボでは、ソロ化する社会にあわせて「ソロライフの家」を考えてみたいと思います。ニーズはあるのかどうか? 今はなくても、これから顕在化するのか? 未来の予測は難しいですが、みなさんのご意見を是非お聞かせください。
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