自助から共助へ

―BIG TABLE の提案

Photo: 本村拓人
秋田県湯沢市の地域活性化に取り組む株式会社reblue (リブル)が主催した、長さ650メートルにつなげたテーブルで食事を楽しむ「発酵ロングテーブル晩餐(ばんさん)会」の様子。大勢の家族連れや友人グループが持ち寄った食事などを楽しんだ。

みなさんは、この「自助・共助」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。現在の日本では高齢化と核家族や単身家族の増加にともない、自分や自分の家族が、身内でお互いに助け合って老後を過ごしていくという考え方から、友人や地域の仲間という血縁関係でない人たちと、お互いに助け合っていくという考え方に変化しつつあります。これには高齢化だけでなく、災害時などのお互いの助け合いも含んでいます。
今までは、こうしたサポートは税金でまかなっていこうという考えでしたが、人口バランスがくずれ、高齢者の数が増えると税金ではまかないきれなくなるのです。

地域の人がお互いに助け合うというのは、とても良いことに思えます。しかし、実際みなさんの暮らしはどうでしょうか。良いことだと思っていても、普段から積極的に関わることは、あまりないのかもしれません。いざ必要だと思う時があっても、それまでの関係性が無ければ、なかなかうまくいくものではありません。自分が元気な時に、元気でない人のことを助けるという前提で、自分も助けてもらうという関係性の蓄積が必要なことは、言うまでもありません。特に地域との関わりという点では、子どもがいる人は子ども同士の関係で、親も繋がっていくというのはあるでしょうが、マンションなどでは、挨拶をしたことがない人もいるのではないでしょうか。

共助の社会の実現のためには、隣の人に少しだけ関心をもって、少しだけお節介になっていくとうこが重要なのです。そのためにもきっかけが必要です。なにかしらの活動があったり、食事会があるとか、掃除のボランティア活動に参加したりというような、かつて町内会であったような仕組みが、通常のマンションにはありません。それならば、マンション内でできる活動を考える必要がありそうです。
ひとつには私たちの提案する「BIG TABLE」という食事会があります。簡単ですし、楽しいと思います。日にちを決めて声を掛け合い、大きなテーブルをみんなで囲みます。食事もみんなで作るというよりは、それぞれが作って来ても買って来てもいいでしょう。みんなが少しずつ持ち寄って、隣の人とシェアすれば簡単です。場所がないと思う方もいるでしょうが、ロビーやエントランス、廊下などを使ってもいいですし、外の道路を、警察に届け出て使用することも可能です。机も備えつけのものがなければ、家から持ってくるという方法もあるでしょう。1年に1回または2回、マンション内に住む人が顔を合わせて話をして、お互いを知るだけでも、その後挨拶ができる関係にはなるに違いありません。
こうした小さな関わりから発展して、知り合った人と子供食堂を始めるとか、掃除の会を立ち上げるとか、いろいろなアイデアが生まれるでしょう。また実際に活動を開始して、周囲の誰かに感謝されることを感じることで、自身の幸せにも繋がっていくかもしれません。理事会ぐらいでしか使わないエントランスや会議室なども、普段から解放して、誰もが立ち寄ってお茶が飲めるような場所にするのも方法の一つかもしれません。
先の食事会ですが、大変であればお茶会でもいいでしょう。誰かがきっかけをつくっていく必要があるのです。その誰かを待つのでなく、あなた自身がその誰かになってみてはどうでしょうか。思わぬ幸せが訪れるかもしれません。

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