公共サービスと人口縮小の未来の社会
2024年4月7日に国土交通省から発表された「2050年の国土に関わる状況変化」によると、日本の総人口は2008年をピークに減少傾向にあり、2050年の人口は約1億人近くになると言われています。現在の人口は1億2500万人ですから今の80%ほどになるわけです。同時に高齢化少子化という社会問題はますます加速します。
「2050年の国土に関わる状況変化」2024年4月7日 国土交通省発表
データ元:https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001361256.pdf
また最近のテクノロジーの進化は目を見張るものがあり、特に人工知能の技術は自動化を進め、人間の知能をはるかに越え始めています。それは現在の仕事が将来は機械が代わりにすることを予感させることでしょう。
さて、そうした中で2050年には行政として破綻する自治体が現在の約40%あるとも言われています。その時に我々の世界はどうなるでしょうか。
かつて行政というのは、我々の暮らしをサポートするために、地域住民の意思で存在していました。しかし現在はその役割が市民から離れて、サービスとして独立し、かつ品質の高さも求められているのです。水道のコックを捻って水が出なければ行政にクレームを言う人も多いでしょう。雪の降る地方であれば、家の前の除雪ができていなことにクレームをいう人もいるでしょう。しかし人口が減っていく社会ではこうしたサービスが維持できなくなるのです。考えてみると、こうした行政サービスは住民が主体となって組合を作ったりしながら近隣住民で解決してきた歴史がつい30年ぐらい前まで行われてきたのです。
行政的に破綻するとは、人口が減少し、税金で地域のサービスが賄えなくなるという意味です。それでも今までの行政サービスを維持しようとすれば、税金が高くなるのは目に見えています。
そこで考えられるのは、地域行政を地域住民自ら参加して解決していくという方法です。実際にこうした取り組みをしているグループは、すでに存在します。
彼らはいくつかのサービスを行政から請け負っていますが、例えばゴミの集積場所を10箇所から2箇所にして、その差益を地域住民に還元する。森の再生を地域住民と実施しながら、カーボンクレジットを売って、その収益を地域に還元する。地域の野菜や農産物を安価に運んで、その収益を還元する。エネルギーやインフラを自分たちで作り、またはオフグリッドにして行政に頼らない暮らしをする。地域の温泉施設や箱物を自分たちでの運営にしていくなど、そこにはさまざまな可能性があります。
これらは、新しい産業を作り出すというより、我々人間が生き抜いていくための知恵が求められているようにも思えます。
また最近の夏の暑さは限界を超えてきています。自然のなくなった都市では気候変動の理由だけでなく、人口が過密になり、空調機を使うことが原因にもなっています。私たちは今までの人口増加、経済成長時代とは明らかに違う社会に突入しているのです。
もう一度我々は、人口を元に考えてきた社会の都市の未来像と公共というものを考え直す時代に入っているのかもしれません。
皆さんはどう思いますか。
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