コミュニケーションを大切にする、国際交流シェアハウスの暮らし
私たちフージャースは「ソーシャルデベロッパー®」を目指します。
「ソーシャルデベロッパー」とは、先の見えない時代、様々な社会課題・地域課題の解決に向き合い、事業を通して解決へ導いていくことだと考えています。そしていくつかのプロジェクトを進めています。
フージャースの目指す「ソーシャルデベロッパー®へ」については、グループメッセージをご覧ください。
ラボで紹介した記事はこちら「U35 ソーシャル推進プロジェクト」社会課題・地域課題の解決に貢献していく存在へ(2023年7月14日掲載)
その中に外国人及び日本人の国際的な交流を目指すシェアハウスを検討するプロジェクトがあります。今回そのチームから生まれたアイデアを形にするため、国際交流シェアハウス「ボーダレスハウス」について、入居者とスタッフの方に話を聞きました。
ボーダレスハウスとは
ボーダレスハウスは、外国人と国際交流ができるシェアハウスです。まだシェアハウスが浸透していなかった2008年、日本に来た外国人が家主から断られて家を借りられないという問題の解決策の一つとしてボーダレスハウスを作ったのがはじまり。今では日本国内だけでなく、韓国や台湾にも展開しています。
目指しているのは、「人種や国籍に関係なく、お互いのルーツや文化をリスペクトし合える差別偏見のない多文化共生社会」です。入居者の半数は外国人です。さまざまな国籍や背景を持った多様な人々が集まり、人種や宗教といったさまざまなボーダーを超えた関わりが各ハウスで生まれています。
今回話を伺った入居者は、アルゼンチン出身のマーティンさん。マーティンさんが日本に興味を持ったのは、子どもの頃から触れていた日本のゲームやアニメがきっかけ。そこから日本の文化や国全体に興味が湧き、23歳の時に観光で初めて日本にきたそうです。旅行を決めた時の必須条件が、ゲストハウスやシェアハウスに泊まることだったと言います。「人と話すことが好きなので、コミュニティを作れる場所が良いと思いました。その時はボーダレスハウスとは別の、知り合いがいたシェアハウスに住んだのですが、シェアハウスってこういうものかという体験ができました」。その後、アルゼンチンで働きながらお金を貯め、2020年に来日しました。
「当時はシェアハウスというより、シェアハウスと1人暮らしを合体させたようなコミュニティスペースのある物件が多くありました。良いなと思い調べたのですが、家賃が高く、最低何年住む必要があるなど、解約金を伴う規約がありました。コロナ禍で何年も住むとは決めきれないと思っていた時にたまたま目に入ったのがボーダレスハウスです。居住年数の縛りがないことに加え、日本人と外国人の割合が半々、男女比も半々であること、20代に限らず30代の入居者もいることを魅力に感じ、住むことを決めました」。
多種多様な人々がいることで、人間として成長できるとマーティンさんは言います。「みんなの考えていることや思想、伝え方も違うし距離感も違う。失敗することももちろんありますが、いろんな人と関わっているうちに、柔軟な考え方ができるようになります」。
掃除はあえて業者に任せない
現在のボーダレスハウスに長く住んでいるマーティンさんは、今では新メンバーの指導や衛生管理など、コミュニティマネジメントの役割を担う存在にもなりました。シェアハウスでは清掃業者が定期的に掃除をしてくれるのが一般的ですが、ボーダレスハウスではあえて業者を入れず、入居者で役割分担して掃除をするようにしています。それをまとめるのがマーティンさんのようなコミュニティリーダーです。
スタッフの細木さんは、「週に何度か清掃業者が入る方が生活するのは楽だと思うのですが、入居者同志のコミュニケーションの余白を残したいので、あえて業者は入れていません。このことは入居者全員に事前にしっかりと説明して、ミスマッチが起こらないようにしています」と話します。
マーティンさんの住むボーダレスハウスでは、誰がどこを掃除するか決めて掲示し、週に1度は掃除をするという決まりにしているそうです。時には決まりを守れないメンバーもいるそうですが、事情を聞いたり、他の入居者が助けたりするため、大きな揉め事に発展したことはありません。
温かいコミュニケーションが魅力
ボーダレスハウスでは、入居前の説明に加えて1年ごとの契約更新時に、必ず面談を行うようにしています。会社と入居者、互いにとって手間とも思えることですが、その密なコミュニケーションがボーダレスハウスの特徴の一つであり、双方が大事にしていることでもあります。
マーティンさんもこの部分を魅力に感じていて、「ボータレスハウスは温かい」と言います。「各ハウスでスタッフが決まっていて、接する機会が多くあります。入居者との距離感が近く、相談への対応も早いと思います」とマーティンさん。リビングや部屋が広かったり、バーベキューのできる中庭があったり、設備面では他のシェアハウスに惹かれることがあっても、今住んでいるボーダレスハウスに対する不満は特にないそうです。
会社と入居者、そして入居者同士で良い関係が築けているのには、ボーダレスハウスの部屋数にも関係があるかもしれません。「10~20人くらいが、深いところまで話ができる関係性を築ける人数です。それより多いと、その中でいくつかのグループに分かれてしまう傾向があります。10~20人が長期滞在者と短期滞在者がうまく循環する数にもなっていて、ちょうどいい数だと感じています。しかし一方では、今後の展開として、30名以上などの大型ハウスにも挑戦していけたらと考えております。」と細木さん。
取材を終えて
ボーダレスハウスには、経験や体験、コミュニケーションに重きを置く方が自然と集まっています。紹介で入居する方も多いことから、入居者の満足度が高いことも伺えます。
現在の在り方はもちろん、今後の展開にも注目し、プロジェクトの参考にさせていただきたいと思います。
ボーダレスハウス
https://www.borderless-house.jp/jp/